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「かわいいひと」「かわいいひとⅡ」の番外編です。
息子のシカマルがイルカに抱きついてキスしてるのを見たときは、さすがの俺も仰天して言葉が出なかった。
イルカが子ども達に人気だとも本人も子ども好きだとも知っているが‥‥そっちの意味だったのか?そしてシカマルはゲイだったのか?バイの方か?そして超年上フェチなのか?お前が婿に行ったら鹿の世話は誰がするんだ?奈良一族存続の危機か?やっぱりもうひとりくらい産んでおくべきだったのか?
色々なことが頭をぐるぐると駆け巡って思考がうまく働かなかったが、何とか家までの道を進んでいった。前にいるふたりは俺の気配に気付く様子もなく、抱きしめたり抱きついたりキスしたりして歩いている。
ちらっと見える横顔のシカマルは、笑ったり怒ったり、表情を忙しそうに変えていた。‥‥あんなに感情をむき出しにしているところは久しぶりに見た。小さい頃から無表情が多くて、シャッターチャンスを窺うのが大変だったのに。今なら面白い写真が撮れるなあ、なんて暢気に思った。
家の前まで来たとき、ようやくふたりは俺に気付いた。シカマルはポカーンと口開けて、それから真っ赤になった。イルカは何考えてんのか、悪びれもせず爽やかに俺に挨拶してきた。何だ、もっと狼狽えてくれたら面白かったのに、と思いながら俺も返事をした。
シカマルより先に家に入って、玄関でこっそりふたりの様子を見ていた。
やべえ、こういうのすげえ楽しい。何かわくわくしてきたぞ。母ちゃんに見つからないかハラハラだけど。
イルカが顔を近づけたら、シカマルはそれを慌てて遮って何か言った。イルカは聞いて困ったような笑顔になって、でもすぐににっこり笑ってシカマルの手を握って帰っていった。何だ、手握るくらいで終わりかよ、という焦れったさと、よしよしあいつらはまだキスより先に行ってねえな、という安堵が混じった気持ちになった。
シカマルはその場にぽつんと立っているので、俺はその隙にリビングへと入った。
あいつらにあてられたのか、何となくむらむらとしたので、母ちゃんの隣に腰を下ろした。無反応だ。いつものこと、と俺はさりげなく肩に手を回した。‥‥どうしても無反応だ。見つめてみたが、母ちゃんはテレビに集中して俺の方を見ようとしない。
ほっぺにちゅーくらいしてやるか‥‥と思っていたらシカマルが家に入ってきた。
くそ。あいつのあーいう姿を見るのはいいが見られるのは恥ずかしい。
しぶしぶ母ちゃんから離れたら、シカマルはちょっとリビングを覗いただけでさっさと2階の自分の部屋へ上がっていった。
なんだ、と俺はほっとして、また母ちゃんにくっつこうとしたが、母ちゃんはテレビがCMになったので立ち上がった。そして俺の方を見ないまま、意気地なし、と呟いた。
痛恨の一撃を食らった俺は、しばらくその場で動けずにいた。
その後もしばしばシカマルとイルカの姿を見つけた。
外で唇にキスするとは、イルカの奴なかなかやるな、と俺は何故か感心していた。遠目から見てもデレデレの笑顔だとわかる。「かわいいなあ」と言わんばかりだ。シカマルはかわいいと言うと怒るので、言えない分態度に出しているのかも知れない。
しかし25歳と12歳‥‥もうすぐ13歳か。10年経ったら35と23だからそれなら有りだろうが、今のシカマルにはちょっと早い気もする。キスで済むうちはまだいいけどな。
男同士という点は‥‥母ちゃんは怒るかも知れないが、俺は許容範囲だ。何故なら俺も昔男にもてたから。俺はノンケに限りなく近いバイというか‥‥母ちゃんに会ってからは母ちゃん一筋なんだけれども、その前にひとり、惹かれた男はいた。男を相手にしたのはそれが最初で最後だ。といっても本番はしてないからギリギリセーフだろう、多分。
なのでシカマルが好きになったのが男でも、本気なら応援してやろうという気持ちはある。愛し愛される幸せってのを知って欲しいと思っている。
ただ‥‥やはり母ちゃんは怒るのかも知れない。母ちゃんが反対するなら俺もそっち陣営につかざるを得ない。
‥‥もしかして俺と母ちゃんがこんなんだからシカマルが女を好きになれねえのか。そんなオチなのか?
里のすぐ近くでの任務に出ていたときだ。数時間だけ暇ができたので、俺は一旦家に帰った。
特に用事があったわけでもないのだが、何となく。虫の知らせというやつだろうか。
家に着いたときはもう明るくなっていた。でもまあ1時間くらいは休めるか、と中に入った。
シカマルの靴と‥‥もうひとつ、少し大きな靴。俺のとはサイズが違うし、母ちゃんはもっと小さいし‥‥これは、もしかするともしかするぞ、と俺ははやる気持ちを抑え、足音を立てず気配も消してシカマルの部屋へと向かった。
そっとドアを開けると、そこには予想通りふたりが眠っていた。
どっちが誘ったのかは知らんが、親の留守中に泊めたり泊まったりはけしからん、とちょっと思った。
でもまあ、俺もシカマルがいないときは母ちゃんとラビュアクシデントだから、人のこと言えねえよなあ。ん、いや、俺らは夫婦だしなあ‥‥。
ふたりに近づいてみる。布団で中の様子はわからない。裸だったらどうしよう、と柄にもなく緊張して、まずはゴミ箱チェックから入った。
あからさまなゴミはないものの、何となく怪しいティッシュはある。しかし拾い上げて細かく調べるわけにもいかず、俺は再びふたりに視線を戻した。
シカマル‥‥寝顔は変わんねえなあ。イルカにくっついて幸せそうに寝息を立ててる。
幸せならいーんだけどよ。父ちゃんはちょっとだけ心配なんだぞ。
しばらく寝顔を眺めていたが、そろそろシカマルが起き出す時間に近いのに気付いて部屋を出た。
このまま家を出るにはまだ時間が早い。リビングでふたりが起きてきたところにおはようと言ってやるのも面白そうだが‥‥ここはひとまず、ふたりきりのときのあいつらの様子を見てやることにしよう。
俺は慣れた手つきで外の木に登り、シカマルの部屋の中が見える位置まできて隠れ蓑の術をおこなった。気配消してるしばれないだろう。わくわく。
ちょっとしてイルカが目を覚ました。イルカは少し身体を起こしてシカマルの顔を覗いている。服を着ているのが見えてとりあえず安堵した。
イルカはシカマルの髪をゆっくり撫でていた。愛しそうに、微笑みながら。
あー、シカマル、お前ちゃんと愛されてるみてえだ。よかった。そこだけ大丈夫ならまあいいんだ。
微かにピピピ、ピピピと音が聞こえた。シカマルの目覚ましの音だ。イルカがそれを止めると、シカマルがもぞもぞと動いた。どうやらシカマルも起きたようだ。ふたりでもぞもぞ。何だ、何やってる。
ふたりはちょっとの間キスしたり抱きつき合ったりしていた。笑って幸せそうな顔してる。
その後シカマルはイルカにキスしながら、ぐいっと抱きついてイルカを押し倒したが、イルカの上に乗ってるのに気付くと真っ赤になって身体を離した。あ、これはやっぱり、あいつらまだ身体の関係はねえな、と俺は溜息をついた。
ふたりがリビングへ降りていったので、俺も木から下りて、再び中の見える位置で隠れて様子を見た。
朝飯はきちんと食ってるようだ。シカマルが2階へ仕度しに行くと、その間にイルカは手早く洗い物を済ませていた。
仕度を終え、ふたりは家を出た。玄関から出てすぐ、イルカがシカマルにキスして、シカマルはむっとした顔で、でもどこか嬉しそうにして、イルカに後ろから抱きついた。振り向いたイルカに自分からもキスして。それから手をつないでアカデミーの方へ歩き始めた。
ふたりの姿が見えなくなるまで眺めていたら、途中でイルカがちらとこっちを振り返って会釈をした――したように見えた。気のせいだったのだろうか?それとも俺に気付いていたのか?だとしたら、なるほど、ただの中忍というわけでもなさそうだ。3代目のお気に入りだっただけある。
まあなあ、俺はな、お前が幸せそうに笑ってるなら、それでいいんだ。
その顔、母ちゃんにも見せてやれよ。それ見たらきっと反対する気もなくなるだろうよ。
親ってのはそんなもんだ。
子どもが幸せなら、自分の価値観だとかはどうでもよくなるもんなんだ。
(了)
イルカvsシカクも書いてみたかったんですけど、どっち応援していいかわかんなくなるから。
ちなみにここのイルカさんは天然ですので、シカクさんに会釈したのではありません。
塀の上に猫がいたのでそっちに挨拶したようです。
親の子に対する気持ちなんかわかりませんが
子の親に対する気持ちや弟妹に対する気持ちと同じように考えましたのでいいかな!
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