NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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「ね、お願い!いいでしょ?」
そう言っていのはシカマルにウインクをしてみせた。
シカマルははあ、と溜息をつきながらも頷く。
ここのところずっと任務や雑務の合間を縫って、シカマルとチョウジに修行の手伝いをしてもらっていたのだ。もうすぐ2回目の中忍試験。それまでに何としてもレベルアップしておきたい。
今日の修行は心転身の術をシカマルにおこない、相手の身体でどの程度動けるかを試すものだ。
術をおこなっている間は自分の身体が無防備になってしまうため、チョウジに見張りを頼んだ。
「ありがとう!じゃあいくね」
いのは早速印を結んだ。奇妙な感覚とともに視界が歪むのにはもう慣れていた。
無事にシカマルの意識を得、いのは身体を見下ろした。
「よしよし。どう?チョウジ。チャクラの感じは」
「うん、シカマルっぽいよ」
チョウジはいのの身体を木の側に横たえながら頷いたが
「ただシカマルにしては表情が明るすぎる」
と言って笑った。
「なるほど‥‥こんな感じかしら」
「そうそう、もっと目つき悪く‥‥しゃべり方は男らしく」
しばらくシカマルの真似が続いたが、ハッと修行の目的を思い出し、
「こんなことしてる暇ないんだった‥‥じゃ、ちょっと走ってくるね」
とチョウジに手を振って森の奥へと足を進めた。
5分くらいは楽に走ってられるわね、と上機嫌だったいの。しかし
「やあ、シカマルくん。トレーニング?」
頭上から暢気な声が聞こえたと思うと、いきなり背後に気配が現れた。
「だ、誰‥‥!?」
振り向くとそれは銀髪にマスクの男だった。
――この変態的な格好は‥‥カカシ先生?
「まったく、もう少し警戒したらどうなの?こんなとこにひとりで来ちゃって‥‥」
カカシはそう言うといのの身体を平然と抱き込み、さらには尻を撫で上げた。
「きゃああああああああ」
あまりの出来事に、自分がシカマルの姿であることも忘れていのは叫んだ。
当然といえば当然である。くのいちとはいえまだ13歳やそこらのうら若き乙女が、突然現れた男にそんなことをされて大人しくいるはずもない。
「へっ」
しかし目の前の人物をシカマルと信じて疑わないカカシは間の抜けた声を上げ、つい手を放してしまった。
「アンタ‥‥最低!変態っ!!地獄に落ちろ!」
いのは声を荒げてカカシを罵った。
呆然としているカカシへ、
「てめえ!!うちのシカマルに何してやがんだっ!!」
とどこからともなく跳び蹴りをかましてきたのはアスマであった。
「アスマ先生!」
「大丈夫かシカマル、俺が来たからにはもう安心だぜ」
その蹴りは残念ながらカカシの腕でブロックされ大したダメージは与えられなかったようだが、助けが入って安心したいのは耐えられず泣き出してしまった。
「怖かったよぉ、アスマせんせぇ‥‥」
アスマの服の裾を引っ張って、ひっくひっくとしゃくり上げる。
これにはやはりアスマも呆然となり、慌てていのの頭を撫でた。
「お、おい、一体何をされたんだ。まさかそんな取り返しの付かない‥‥」
アスマは自分で言って激昂し、カカシを殺意のこもった目で睨みつけた。
「カカシ‥‥許せん‥‥!!」
「ちょ、ちょっと、誤解だから!俺はただ」
「問答無用!!」
「わっ!落ち着けって‥‥仕方ない、それならこっちも本気でいくよ!」
かくしてアスマ対カカシ、上忍同士の命懸けの闘いが里の外れで行われたのである。
間近でとてつもない殺気を感じ、いのはたまらず逃げ出した。
そろそろチャクラの限界が近い。戻らなくては。
やっと涙が収まり、そう思い始めたいのは、チョウジと自分の身体の待つ場所へ向かった。
「おーい、シカマルー!」
名前を呼ばれ、そう言えば自分はシカマルの身体にいるんだった、と思い出し、辺りを見回すとイルカがこっちへやってくるところだった。
「イルカ先生!」
先ほどの異常なふたりとはうって変わり穏やかな空気をかもし出すイルカを見て、いのは嬉しくなって笑顔で駆けだした。それを見てイルカは少し驚いた表情を見せ、さらにいのの目が赤いことにも気づき
「こんなところで何してるんだ。‥‥泣いてたのか?」
と心配そうに聞いた。
「あ‥‥これは、その。カカシ先生が‥‥」
「カカシ先生?」
イルカの顔が曇ったのを見て、いのは慌てて
「ううん、何でもない。アスマ先生がやっつけてくれてるし」
と答え、にこっと笑った。
イルカはそれを不思議そうに見ていたが、すぐに頬をゆるめた。
「あっ、もう行かなきゃ。チョウジが待ってるんだ。じゃあね、イルカ先生」
「ああ、気を付けてな」
笑顔で手を振り、イルカと別れた。立ち直りの早いいのは、目的の場所へ急ぐ間、既にカカシにされたことによる不快感も忘れてしまっていた。
「お待たせチョウジ!」
「‥‥お帰り」
チョウジのところへ着くと、何故かチョウジは食べていたポテトチップスを吹き出しそうになったが、すぐにいのを迎えた。
「何よ、何笑ってんの」
「だって‥‥やめてよ、シカマルの身体でそういうこと言うの」
耐えきれずチョウジが笑う。自分ではそこまで違和感を覚えないのだが、やはり端から見てる分にはおかしいのだろう。
「もうくたくた。早く術解いちゃおう」
そう言っていのは慣れた動作で、自分の身体へ戻っていった。
「ん‥‥」
シカマルが気付き、いのとチョウジを見てぼんやりと呟く。
「終わったのか」
「うん、ありがとね、シカマル。チョウジもありがとう」
「どういたしまして」
ちなみに修行の報酬はシカマルには酢昆布、チョウジには串団子である。
帰り支度をしているいのにシカマルは言った。
「怪我はねえみたいだが‥‥俺の身体で変なことしてねえだろうな?」
「え!」
ギクリ、という音が聞こえてきそうである。変なこと‥‥どちらかというとされた方だが、そう言えばアスマに泣きついたりもしたような、してないような、した、な‥‥いのの顔が強張ったのを受け、シカマルが不安そうにさらに言う。
「おい‥‥お前何かしたのかよ」
「な、何も、何もしてないわよ!やーね、私を疑う気?あ、私、店番あるから帰るね。また明日!」
いのは一方的にまくし立て、その場を猛然と走り去った。
後には顔を引きつらせたシカマルと、無言で咀嚼を繰り返すチョウジが残された。
「シカマル!こんなとこにいたのか」
帰り道を歩き始めた途端、アスマが姿を現した。何故か服はぼろぼろ、ところどころ血がにじんでいる。
「先生どうしたのその傷」
チョウジが聞くとアスマは
「ああ、これは大丈夫だ。相手がカカシじゃあ無傷ってわけにいかねえからな。俺よりお前は大丈夫なのか」
と言ってシカマルに向き直ったので、シカマルは冷や汗をかいた。
――いのの野郎、やっぱり何か問題起こしやがったな‥‥!
しかしいのに身体を預けていたとは言えない。何故ならいのの修行は「アスマ先生には絶対秘密!内緒で強くなって驚かせてやるんだから!」だそうなので、ばらすとおそらくこの場を乗り切るよりやっかいなことが待っているはずなのだ。
とりあえず黙っているとアスマがべらべらしゃべり始めた。
「お前があんなに取り乱すなんてよほどのことをされたんだろう?カカシの奴にはきつく言っておいたから安心していいぞ。もしまた何かあったら絶対俺に言え。綱手様でもいい」
ああ‥‥とシカマルは何となく状況を把握した。またカカシのいつものセクハラがあったに違いない。当然そんなことに慣れていないいのは驚き、戸惑っただろう。いのパンチぐらい食らわせたかも知れない。そこへアスマが割って入り戦闘になった、と。完成度が上がったいのの心転身の術は見事に上忍ふたりを騙したらしい。いや、気付けよ、と思わないでもなかったが、素直に友人の成長を喜び、シカマルは口を合わせた。
「いや‥‥俺、ちょっと疲れてたって言うか。寝不足だったし。カカシ先生はいつもあんな感じなんで気にしなくていーすよ」
何気なく言ったつもりだった「いつもあんな感じ」という言葉にアスマは再び激昂したが、何とかシカマルとチョウジで丸く収めた。
「いいか、もうカカシには近づくな」
「‥‥わかった」
「俺にはもっと頼ってきてもいいからな」
「ああ」
「たまにはああやって泣きつくのもかまわん」
「(泣きついたのかよ‥‥)はあ」
「何なら俺のことはお父さんと呼んでもいいぞ」
「‥‥はあ?」
それからしばらくの間アスマの監視下に置かれたシカマルは、2度と心転身の術は食らうまい、と心に誓ったのだった。
(了)
やっつけですいません。
変化や前までの心転身の術ならカカシアスマも見破れるんだけど
完成度の上がった場合は見分けがつかない、というねつ造設定です。
それぞれ見たがってたシカマルを見られたようです。すなわち
変化や前までの心転身の術ならカカシアスマも見破れるんだけど
完成度の上がった場合は見分けがつかない、というねつ造設定です。
それぞれ見たがってたシカマルを見られたようです。すなわち
イルカ→子どもっぽい笑顔で走り寄ってくるシカマル
アスマ→自分を頼るシカマル
カカシ→自分を罵倒するシカマル
あとカカシさんVSアスマさんを止めたのはイルカさんです。
詳しく書いたらイルカ最強説が全面に出てしまうんでやめておきました。
(1/27 いのの一人称修正しました。間違えてすみません。)
あとカカシさんVSアスマさんを止めたのはイルカさんです。
詳しく書いたらイルカ最強説が全面に出てしまうんでやめておきました。
(1/27 いのの一人称修正しました。間違えてすみません。)
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