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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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ごめんなさいね、アンタとは付き合えません。
何でって、俺、恋愛感情とか性欲とか、無いんですよ。
ドキドキもムラムラもしないんです。アンタだけでなく、誰に対しても。
だから諦めてちょーだいな。

「木の葉の里の女性は積極的ですね。昨日ので3人目ですよ」
カカシはそう言って、グラスに残った酒を飲み干した。
 
部下の元担任であるイルカと飲みに来るのはこれで何回目だろう。
初めは主にナルトについて話すために誘っていたが
気付けばふたりは階級を超えた飲み友達になっていた。
プライベートの話も平気でできるまでに仲が発展した矢先、
カカシはあるくのいちから所謂「愛の告白」を受けた。
 
「さすが。やっぱりもてるんですねえ」
笑いながらイルカは言ったが
「‥‥でも、嬉しくなさそうですね」
と続けた。
カカシが告白されたことより、どこか不機嫌そうにしていることに興味を持ったようだ。
「俺ねえ、恋愛したことないんですよ」
こんな風に自分のことを友人に話したのは初めてだったが
イルカ相手ならかまわないだろう、受け入れてもらえるだろう、という
根拠のない自信があった。
イルカは意外そうにカカシを見たが、黙って話の続きを聞いた。
「こう‥‥ときめき、と言いますか‥‥そういうのを感じたことがないんです。
ずっと感情を抑える訓練をしてきたせいなのか、よくわかりませんが。
恋愛感情だけでなく、他人に対する性欲もほとんどないです。
やっぱどっかおかしいんですかね?」
じっと前を見、隣のイルカには視線を向けないようにしていた。
イルカの顔が凍りつき、異常なものを見る目つきになったらどうしよう、などと
言ってしまってから心配になったのだ。
「‥‥‥‥」
イルカは、ずっと黙っている。
自分はそんなに変なことを言ってるのだろうか?
不安が募り、耐えきれずイルカの方をちらっと見やると、
イルカはポカンと口を開けてカカシを見ていた。
「あ‥‥すいません、ちょっと、意外だったので‥‥」
我に返ったイルカは慌ててそう言い、酒をあおった。
「おかしい‥‥ですか」
今の自分はさぞ情けない顔をしてるんだろうなあ、と思いながらカカシは言った。
「いえ、いいえ!そうじゃないんです。その、」
イルカはグラスに口を付けたまま、もごもごと言った。
「俺も‥‥実は同じことを思っていました」
「へ」
今度はカカシがポカンと口を開ける番だった。
「正式にはAセクシュアルとか言うのかも知れませんが、
恋愛感情や性欲が極端に薄いんですよね。
ああ、うん‥‥すっげえわかります」
イルカはうんうんと頷いた。
カカシはまだ信じられないような顔で聞いた。
「でもイルカ先生、嫁さんと子どもが欲しいって」
「はい、欲しいです。でもまあそれは別というか。
恋愛感情じゃなくても愛情さえあれば家庭は作れるんじゃないかな、とか。
子ども作るときだけなら性行為も頑張れると思うし。
それにはこんな俺でいいって言ってくれる人を見つけなきゃならないですけどね」
はは、と鼻の傷を掻く。
「頑張ればセックスできますか」
「そうですねえ‥‥不能とか精子がないとかじゃないから
いざとなったら人工授精でもいいんじゃないですかね。
俺は後天的に性嫌悪から派生してこうなったんで
可能な限り性行為はしたくないですし。恋愛の方はともかくとして」
さっきまで割とデレデレに酔っていたイルカが
真面目な顔で教師然として話すのを、カカシは見つめていた。
「恋愛の方はともかく、ってことは、恋愛に対する嫌悪はないってことですか?」
新しく酒を注文することも忘れ、話に魅入る。
「うーん、深追いしなければ良いものだと思いますよ。
相手を想うことで人は成長するし‥‥。
ただ、バカップルは気持ち悪いと思っちゃいますね」
ポロリと本音をもらし、イルカは苦笑した。
「まー‥‥俺ももう25だし、恋愛してみたい気持ちはあるんですけどねえ」
「恋愛してみたい、か‥‥」
「たまに無性に人肌が恋しくなったり、誰かに側にいて欲しくなったり。
そういうことありませんか?」
カカシははたと考えた。
今までそんなことを思ったことがあっただろうか。
恋しい?側にいて欲しい?
「寂しい、ということですか」
聞くともなく呟くと、イルカはそーですそれです、と答えた。
寂しいという感情ならば抱いたことがある。
独りでいるのがひどく恐ろしく、不安でたまらなくなるような。
しかしだからといって人を頼ろうとしたことはなかった。
寂しさにはただ耐えるしかないと思っていた。
「寂しいからって、真夜中に友人を家に呼びつけて
抱きしめてもらったり添い寝してもらったり、
膝枕してもらったりするわけにはいかないでしょう。
そう思うと、恋愛できる人は羨ましいなあなんて」
イルカは言ってしまってから、
「いや、今のはちょっと自己中すぎますね‥‥すいません」
と照れたように謝った。カカシは笑って、
「別にいーんじゃないですか、
相手が寂しいときはイルカ先生が行って抱きしめてあげるんでしょ」
イルカの顔を覗くと、イルカも明るい笑顔で言った。
「そうですね、お互いに支えていけたらいいですよね」
しばし和やかな空気が流れたが、すぐにイルカは寂しそうに
「まあ、そんな都合の良い相手が見つかるとは思いませんが」
と溜息をついた。
「んー、ま、そうですよねえ」
カカシも同意する。
「セックス無しで付き合ってくれる人って結構少ないですもんね」
「ですよね‥‥」
イルカは、あーあ、と肩を落とした。
「でもさ、イルカ先生」
「はい?」
「ここにふたり、セックス要らない人間がいるわけじゃないですか」
「はあ」
「俺らで付き合ったらどうですか?」
カカシはにっこり笑って、先ほどから考えていたことを口にした。
酒の勢いと言うやつだったのかもしれない。
何にせよ初めての「告白」である。
顔は笑っていたが、内心は不安でいっぱいだった。
イルカのことだから安易に気持ち悪いなどとは言わないだろうが‥‥
駄目なら駄目で笑い飛ばして欲しい、と願った。
そんな気持ちもつゆ知らず、イルカはまたポカンとして
「俺とカカシさんでですか?」
とふたりを交互に指さしながら言う。
そうです、とカカシが頷くと、途端にイルカはにかっと笑って、
「面白いですね!そうしましょうか!」
と声を上げた。
予想外の好反応にカカシは逆に不安になり、
「あの、俺とじゃ子どもは作れませんけど、それでもいいんですか」
などといちいち聞いた。
「そりゃ、できたら血のつながった子どもが欲しいですけど、
俺は養子でもかまわないですよ。ていうか別にそこまで深く考えなくてもいいでしょう?
まずは付き合ってみるって程度で。
上手くいったら上手くいったでその時将来について考えましょうよ」
「あ、うん、そうですよね」
「カカシさんこそいいんですか、中忍の男なんか相手で」
イルカはいたずらっぽく笑ったが、どこか表情に不安が覗いていた。
「いーですよ、イルカ先生の考え方、俺と似てるし」
「そうですか、なら良かった」
再び満面の笑みを見せるイルカに、カカシはほっと胸をなで下ろした。
そしてどちらともなく向かい合い、
「じゃあ、これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
と頭を下げた。
 
始まりは居酒屋で、そんなノリだった。
 
 

 
 
 
 
(続)

イルカさんとカカシさんの考え方が似てるはずねえという突っ込みはご遠慮下さい。
恋愛観とかそういうのが似てるってことです。
普段のふたりは正反対ですよね‥‥。
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無題
はじめまして。カカイル好きでこちらへたどり着きました。とってもおもしろいですね!複雑な気持ちをもっている二人で、こころの動きが繊細に書かれているのがとても好きなので、続きを期待しております!!
キリ 2008/04/15(Tue)10:19:39 edit
コメントレス>キリ様
コメントありがとうございます!
カカイル‥‥需要があるのに供給してなくてすいません‥‥。
楽しんで頂けたなら良かったです(´∀`)
こういう人もいるんだぜ、というのを書いてみました。
期待していると書かれたら続けないわけにいきませんな‥‥近々頑張ります!
いちかわ(管理人 2008/04/16(Wed)03:41:45 edit
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