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俺はね、言葉なんか要りません。
ただその覚悟を身体で表現して、確固たるものとして欲しかった。
「アナタのためなら忍道を捨ててもかまわない」と。
死んでしまった親友のことすら顧みないと約束して欲しかった。
アナタが毎朝のように慰霊碑の前でたたずんでいることは、だいぶ前から知っていました。
それが「はたけカカシ」であることを知ったのは、アナタに会ってからでしたけどね。
俺は有り難くも火影様のサポート役として色々な仕事を任されていたから、
里の中を走り回るのは日常茶飯事でした。
俺の姿、よくあちこちで見かけたでしょう?
それに俺もあの場所には思い入れがあったから。
少年時代、独りの時はほとんどあそこで過ごしていました。
慰霊碑の前にいれば、少しでも両親の近くにいられるような気がした。
そうして両親がいた頃を思い出してぐずぐずと鼻水垂らしてました。
バカみたいですよね。
そんなことしてる暇あったら忍術のひとつやふたつ練習してればいいのに。
両親のように、木の葉の里を守る忍びになるために。
もっと前向きになれってんだ。
今ではまあ、良い思い出と言えなくもないですけど、
随分時間を無駄にしたなあって慰霊碑を見ると思うんです。
もうあんなバカな自分には戻らないように。
案外、アナタも似たようなことを思ってたんじゃないですか?
オビトさんのこと。
知ってました。存在くらいは。
ああ、カカシさんのことだって、よく噂は聞いてましたよ。
同じくらいの年齢でもう中忍になった、とか、もう上忍になった、とか。
オビトさんは戦場で殉死した英雄として俺らの間では割と有名でした。
その頃の俺らなんて死とはほとんど無縁のとこにいましたからね。
ああ、九尾のこととか、他にもちょこちょこ大変なことはありましたけど‥‥。
それでもさすがにカカシさんが写輪眼を手に入れた経緯までは噂にはなりません。
俺がほんとのところ知ったのは、アナタがナルトの担当上忍になったときです。
詮索して申し訳ありませんでした。でも俺は、どうしても知りたかった。
ナルトが立派な忍者になるのを少しでも助けてやりたかったんです。
3代目から聞いたり、当時の資料をこっそり読ませてもらったりして。
アナタに関することなら何でも知っておきたかった。
ナルトのことで俺は少しでも安心を感じたかったから。
あの子にだけは幸せになって欲しいと心から願っていた。
ナルトが下忍として認められてから、俺とアナタは少しずつ近づいていきましたよね。
アナタの方から飲みに誘ってくれて。
俺だって最初はアナタにそんな気持ちがあるなんて考えもしませんでしたよ。
多分、知ってたらついていかなかった‥‥いや。
アナタがナルトの上忍師である以上、アナタが人食い狼だろうとついていったかもしれませんね、俺は。
わかってますよ、俺がナルトをかわいすぎてるってことは。
でも本当にかわいいんだからしょうがないでしょう?
アナタの立場は、師匠である4代目とナルトのことを思うと何とも複雑ですけど
それでも公平な目でナルトを合格にしてくれたこと、俺は凄く感謝しています。
アナタのことはずっと尊敬していました。実は、今もそうです。
嘘じゃないですよ。俺は嘘が嫌いですから。
それが恋情に変わることは、残念ながらなさそうだけど。
アナタの気持ちに気付いたのは、何というか必然でした。
俺だけを笑顔で何度も食事に誘って、これ見よがしに口布を取って見せて。
普段ずっとポケットに突っ込まれてるアナタの手は、
俺の手にニアミスしないかなーと言わんばかりにぶらぶら振られてましたし。
アナタの視線が俺の首筋や耳に向いてることも。
俺のことを何とも思ってない野郎はそんなとこ見ません。
口を覆ってることに慣れすぎて、表情を隠すのが苦手になったんじゃないですか?
アナタがとうとう気持ちを打ち明けたとき
一瞬のためらいもなく左目をえぐってくれていたら
アナタがあの眼を捨ててもかまわないほど俺を欲してくれてたのなら
俺も迷わずアナタの胸に飛び込んで行けたのに。
さっき「恋情に変わることはない」と言ったし
俺はバリバリの異性愛者で、嫁さんも子どもも欲しい身ですけど
そこまで深く想ってくれてるのなら、アナタに一生捧げてもかまわないと思いました。
左目を失ったら、アナタの忍びとしての能力に問題が生じるでしょうね。
5代目はまず黙っていないでしょう。
治癒を断ったら里への反逆罪が適用されそうです。
そしたら俺もアナタもただでは済まされない。
そんなことはわかっています。
わかっていながら、俺はあんなことを言いました。
アナタが本当の気持ちをついに打ち明けてくれたから
俺も失礼を承知で、本気の言葉を伝えたんですよ。
笑えない我が儘だとアナタは怒ったかも知れない。
それでも俺が言えるのはあれしかなかった。
だってそこまで愛されることなんか、一生に一度だってないかもしれないじゃないですか。
もしかしたらカカシさんが、その一度なのかななんて思いました。
そうだとしたら、逃せない。逃したくない。
俺が欲しいのは「1番大事」でもなければ「本当に大事」「何よりも大事」なんかでもない。
「俺だけが大事」だったんです。
大事なものがひとつだけとわかっているなら、
迷うことも悩むこともなく、することは決まっているでしょう。
俺さえ側にいれば、親友から貰った眼も教え子も里さえも、何もかも要らなくなるような。
そんな狂気に、触れてみたいと思った。
「壊れるほど愛した」とはそれくらいのことを言うんじゃないか、なんて。
俺もまだそんなに人を愛したことはありませんけどね。
カカシさんはきっと、俺以外の人間や里の未来くらいが相手ならまだ、俺を優先してくれたんじゃないですか?
火影様を殺せ、とか。その程度なら。
俺がそんなこと願うわけないでしょう。
アナタが俺より大事にしてるものの存在くらい、俺にはちゃんとわかってましたよ。
アナタはどんなに俺のことを好きだとアピールしてきても
慰霊碑の前にいるときだけは、俺に気付かなかった。
すぐ後ろを通り過ぎた俺に、気付かなかった。
アナタはどんなに俺のことを好きだとアピールしてきても
慰霊碑の前にいるときだけは、俺に気付かなかった。
すぐ後ろを通り過ぎた俺に、気付かなかった。
ほんとのほんとは、俺とアンタはそんなに違わない。
俺だって一度ならず、アンタの手に触ってみたいと思った。
手をつないでみてもいいと思った。
これを恋だなんて認めようとはしなかった。
事実、恋と言うにはあまりにも淡い。
俺は自分の気持ちに自信がありません。
もしかしたら自分で気付いてないだけで、アナタへの気持ちは恋愛感情なのかも。
一生に一度あるかないかの愛をくれるのがアナタでなくて
知らず知らずのうちに傷ついているのかも。
わからないから相手を信じるしかない。
信じるには、それなりの行動を示してもらうしかない。
俺の恋愛はいかに相手を信頼できるかという一点しかないんです。
完全に信頼できるとわかったら俺こそ何でもしてあげるのに。
まあ、でも、言ったでしょう?
アナタの選択は正しいと。アナタはそうするべきだった。
アナタ自身のためにも、オビトさんのためにも、里のためにも。
全てを投げ出してもかまわないとまで想われるほどの魅力は俺にはありません。
だからアナタが片目を取り出さないことはわかっていました。
わかっていても、ほんのわずかな可能性に賭けてみたかった。
そうでないなら、アナタは俺の言葉に激昂して俺の前から姿を消すだろう、とも。
それでいい。
どっちにしても今までの状態よりはずっといいでしょう。
俺のことを想って眠れない日々も終わります。
新しい人を見つけて、ゆくゆくは家庭を作ったりなんかして。
楽しそうじゃないですか。
もう大丈夫だから。
俺への気持ちを忘れても、アンタは前に進んでいけるよ。
もし駄目だったらそのときは、左眼を片手に俺のとこにおいで。
いつでもどんなときでも笑顔で迎えてあげるから。
俺もいよいよ狂ってるのか、も。
(了)
(了)
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