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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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「ん‥‥」
重みを感じて目を覚ました。
いつものようにお気に入りの公園のベンチで仰向けになり雲を眺めていたのだが、やはりいつものようにそのまま寝入ってしまったらしい。この春の陽気の中では寝るなと言うほうが無理というものだ。
上体を起こして膝を見ると、なんと真っ白な猫が我が物顔で乗っかり、丸くなって眠っている。
おいおい、何で俺の膝で寝てんだよ。
起こして追い払っても良かったのだが、気持ちよさそうな寝顔を見て思いとどまった。
自分も眠ってるとこ起こされるの嫌だし‥‥仕方ねえか。
再び横になり、目を閉じた。
膝がじんわりとあたたかい。
たまには、こういうのも悪くない。たまにはな‥‥。
 
 
「シカマル?」
不意に声がして、目を開ける。
不思議そうな顔をして覗き込んでいるのはイルカ先生だった。
慌てて身体を起こそうとして違和感に気付く。顔だけ上げて見れば、さっきは膝に1匹だけだった猫が、胸と腹、膝下の合計4匹に増えていた。
「何だこれ‥‥」
顔をしかめるとイルカ先生は吹き出し、声をあげて笑った。
「気付かないで寝てたのか?まったくしょうがないな」
自分でも驚いている。これだけの猫に乗られても目を覚まさないなんて、忍びとして以前に人間としてどうなんだ。
強引に起き上がろうとしたがイルカ先生はそれを制して言う。
「猫が落ちちゃうだろ。せっかくこんな気持ちよさそうに寝てるのに」
そりゃあ、1匹だけならかわいいもんだけど。
「どうしろっていうんすか、これじゃ動けねえよ」
文句を言う。
「仕方ないな。起きるまで待つか」
でもイルカ先生は楽しそうにして、頭側の隣に腰かけた。
「親子かなあ‥‥」
そう言って人差し指と中指だけで胸の猫をすりすりと撫でるイルカ先生。腕が俺の目の前をゆらゆら動く。
確かに乗ってる猫たちはみんな真っ白で、1匹はそれなりの大きさ、他3匹は子猫だから親子なのだろう。最初に膝に乗ってきたのは子猫のうちの1匹だ。
「野良猫にしては綺麗だからどこかに通ってる猫なのかも知れないな」
耳を撫でると猫はもそもそと動いた。しかし起きる気配はない。
「猫、好きなんですか」
「大好き」
言って、ますます頬をゆるめる。ちっちゃい子に見せるときのデレデレした笑顔、アレだ。
その台詞と笑顔に顔が少し熱くなった。
「いつか平穏な生活ができるようになったら飼ってみたいんだけどなあ」
「口寄せしたらいいんじゃないですか」
「戦わせるのは何となくかわいそうだろ。俺が欲しいのは忍猫じゃなくて普通の猫なんだよ」
「にんねこ‥‥」
ニンビョウ、じゃないのか、と突っ込みたくなったがやめておいた。
「忍猫なんていたら俺、手出せないなあ。そういう意味では強そうだよな‥‥」
なんか独り言言ってる。
 
「しっかし、猫が羨ましいよ。知らない人にでも膝枕してもらえるなんて」
猫の身体を撫でながら、イルカ先生は唐突にそんなことを言い出した。
これが膝枕なのかは疑問だが‥‥どちらかといえば膝布団の方が正しいだろうし。
「膝枕‥‥好きなんですか」
「大好きなんだよ」
さっきと同じ質問と答え。今度は照れたように。
いやいや、こっちが照れるから。
「最近は膝を貸す方が多いからなあ。1回でいいから思う存分人の膝で寝てみたいもんだ」
はは、と笑って照れ隠しに鼻の傷を掻く。が、今のはちょっと聞き捨てならない。
「貸す方が多いって‥‥誰に」
「ん、ナルトとか、3代目の家にお邪魔したときは木の葉丸にも」
何だ、子ども相手か。安堵の溜息がもれそうになるのを慌てて止める。
「俺の膝は寝やすいらしい‥‥仮にも鍛えてる忍びの足なのに」
「へえ。それは試してみたいっすね」
平然と言ってみる。他意を見せないように。
「してやろうか。いつまでもその体勢はつらいだろ」
よっしゃ、と思う間もなく、イルカ先生は俺の頭をひょいと抱え上げると、自分の膝を差し入れて枕にした。
「あ、気持ちいい」
思わず本音がもれる。膝枕なんてしてもらったのは何年ぶりだろう。
「そっか、良かった。俺ので良ければいつでも貸してやるぞ」
さっきよりずっと近くでイルカ先生の顔が自分を見下ろしている。少し位置が変わっただけなのに、不思議だ。なるべく視線を合わせないようにして、今まで枕代わりにしてた腕を腹の猫へ移動させた。
「今度は‥‥」
「ん?」
猫をいじって、できるだけ何でもないことのようにつぶやいた。
「今度は俺がイルカ先生に膝貸してやるよ」
言ってしまってから耳が熱くなる。マジで空気読め。ここで赤くなったら変態だろうが。
「ほんとか?ありがとう、楽しみにしてる」
イルカ先生はぱーっと笑って嬉しそうに言った。
「シカマルの身体はあったかくて気持ちよさそうだな、猫が寄ってくるくらいだし」
前々から知ってたことだが、イルカ先生の台詞はいっつもどこか恥ずかしい。
まあ、そういうとこが、いいんだけど。

アンタに無条件で愛されて撫でられる猫も確かにいいけど。
俺はアンタに膝を貸してあげたいから、人間のままでいいや。
でも、ま。
  
 
ときどきは、猫も悪くない。
 
 
 
 
 
(了)
 
「窓を開けて部屋で昼寝をしていたら、目を覚ましたとき野良猫が膝で寝てた。飼うことにした」
という話を聞いて思いついたネタです。歌の方とは関係ないです。
これイルカ先生は狙ってやってたらいいなあ‥‥天然も好きだが。

あと、これ書いた時点ではナルト全巻読んでなくて(マジですいません)
本当に「忍猫」を「にんねこ」と読むとは知りませんでした。
何だよ!ニンビョウじゃないのかよ!

自分がシカマル視点で書くといつも目覚めから始まるのは何故だろう。
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