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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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全く、押しが弱いんだから!
10班の任務が終わると、いのは苛々と帰り道を急いだ。
シカマルがアスマを眺めては、相手と目が合いそうになると顔を背けるのはもはや周知の事実だ。
といってもいのとチョウジの間では、である。
アスマは気付いていてもその理由までは思い当たってないに違いない。
 
目を逸らすのに最初に気付いたのはチョウジだった。
3人でいるときポツリと「シカマルってアスマ先生のこと嫌いなの?」と言い出したのだ。
それを聞いたときのシカマルの慌てっぷりは見物だった。
いのもチョウジも思い出しては吹き出すのをこらえる。
元々慌てることの少ない、じいさん並みに落ちついているシカマルが「な、なな何で」とどもりながら顔を真っ赤にしたのがつい昨日のことのようだ。
「だっていっつも目合わせないようにしてるから」とチョウジが言うと、シカマルはうつむいて黙ってしまった。
チョウジの観察力に感心しつつシカマルの行動に興味を持ったいのは、持ち前の強引さで理由を聞き出すのに成功した。
「なんか、よくわかんねえけどドキドキするから」のようなことを小声で呟くシカマルに、「それは恋よ!」と断言したのもいのだ。
他人の色恋沙汰が大好きな年頃である。
男同士だろうが年が離れていようが、いのには関係なかった。「障害があるほど恋は燃えるものよ!」
チョウジはチョウジで「シカマルがいいならいい」という考えの持ち主だったので、以来ふたりはシカマルの「恋」を応援する形になった。
そうしてしばしば任務の後に「作戦会議」をおこなうのだが、シカマルはその話題になると決まってあらぬ方向を見て口を閉ざしてしまう。
なのでいのとチョウジ、というかいのが一方的に意見を述べて会議が終了するのが常だった。
「とりあえず目を逸らすのは逆効果だわ。嫌われてると思っちゃうじゃない。アスマ先生は鈍そうだからなおさらよ」
「何かプレゼントしてみたらどうかしら。ちょっとした小物とか‥‥」
「もういっそ告白しちゃいなさいよ!」
気の長い方じゃないいのは最近では強硬姿勢に出ていた。いつまでも進展のないふたりに業を煮やしたのだ。
シカマルはシカマルで「めんどくせえことになるだろ」と言って取り合わない。
勇気がないだけのくせに!と勝手に思い込み、こうなったら私が何とかしなきゃ!と若さの許すまま暴走し始めた。
帰宅したいのは、父親の姿を認めて開口一番にこう言った。
 
「パパ、私に心乱身の術教えて!」
 
 
「いい?チョウジ。邪魔しないでよね」
「うん‥‥でもほんとにそんなことして大丈夫かなあ」
睨みつけると、チョウジは頷きつつも心配そうに言った。
どの程度心配しているのかというと、何と常備しているポテトチップスに手を付けないほどだ。
「大丈夫!だっていつまでも進展がないんだもの。ちょっと刺激を与えないとね」
そう言っていのはばっちりウインクをしてみせた。チョウジは黙って、茂みの向こうにいるシカマルを見つめた。
いのの計画はこうだ。
アスマとシカマルをふたりで会わせ、様子を見ながら隠れているいのが心乱身の術をかける。
完成度の低いいのの術でも手足の動きくらいは操れそうだった。
友達のために忍術の修行までするなんて、サスケくんが聞いたらどう思うかしら!などと思いながら、いのはアスマが来るのを待った。
任務には大抵シカマルとチョウジが先に来て、アスマといのが少し遅れてやってくる。
チョウジさえ押さえれば計画は簡単だった。
 
「あ、来た」
チョウジが小声で言った。見るとアスマが煙草を吸いながらぶらぶらやってくるところだった。
シカマルは冷静を装っているが、辺りをきょろきょろと見回している。
「よう、シカマル。チョウジはどうした」
「‥‥少し遅れるらしいす」
シカマルはやはり目を合わせずに言った。アスマは困ったような顔で後ろ頭を掻き、そうか、と言った。
それきりふたりは黙ってしまい、気まずい空気が流れている。
「ああもう!何か話せばいいのに‥‥仕方ない、いくわよ!『心乱身の術』!」
焦れったそうにいのは言い、覚えたての印を結んだ。
術は成功し、シカマルがきょとんとして自分の手足を見下ろしているのがわかる。
「声は操れないから‥‥実力行使ね」
いのは楽しそうに言い、慎重にチャクラを練った。
隣のチョウジがハラハラしながら見ている前で、ゆっくりとシカマルの手足が動いた。
「う、わっ」
「お‥‥!?」
背を向けていたアスマの腰に、シカマルが後ろから抱きつく。
突然のことにふたりとも絶句し、固まってしまった。
計画どおり!といのは笑い、抱きつくシカマルの腕にますます力を込めさせた。
「ちょっ‥‥あ、アスマ!これは」
「シカマル‥‥お前‥‥」
「ちが、身体が、かっ‥‥待っ‥‥違うんだって!!」
シカマルは離れたところにいるいのとチョウジにもわかるほどに真っ赤になってうろたえた。
声ははっきりとは聞こえないが、どうも震えているようだ。
「シカマル」
「はっ‥‥」
アスマは身体をシカマルの方に向け、その大きな手でシカマルの頭を撫でた。
いのはガッツポーズをした。その拍子に術は解けてしまったのだが、シカマルはまだ抱きついたままだった。
「良かった‥‥嫌われてんのかと思ってたぜ。お前もかわいいことすんのな」
「だ、だから違うって」
「お前がそんなに言うならよ‥‥」
「え」
きたきたきた、といのは身を乗り出し、チョウジは慌ててそれを押さえた。
見つかっちゃうよ!いいとこなのに!とか何とか言っている。
 
「俺のことはお父さんって呼んでもいいんだぜ」
 
「‥‥あ?」
ドサ。
いのとチョウジは思わずその場に倒れ込んだ。
もちろんアスマとシカマルはそれに気づき、シカマルは慌ててアスマから離れた。
「おめーら、何やってんだ」
アスマは呆れたように言い、
「いの‥‥てめえの仕業か!」
シカマルは真っ赤な顔のままでいのに向かって走ってきた。
いのはヤバイ、と起き上がり、何とかシカマルの怒りから逃れるべく走り出した。
「シカマル!わ、私はアンタのために」
「うるせえ!1発殴らせろ!!」
シカマルが女を殴る発言をするとは相当である。チョウジは青くなって、
「駄目だよシカマル!」
と勇敢にも立ちはだかった。ナイスチョウジ!といのはホッとしたが、
「チョウジ‥‥お前もグルだったんだな‥‥」
とシカマルの目がつり上がる。
「い、いや、ボクは‥‥シカマルのためを思って」
「ふざけんなあああっ」
シカマルと、いのとチョウジの追いかけっこはそれから10分ほど続いた。
最初は面白そうに見ていたアスマが、いい加減にしろとシカマルの首根っこを捕まえ、何とかいのとチョウジは無傷で済んだ。
いのが術を使ったと知ったアスマが
「ほう、そんな術まで使えるようになったか。やるじゃねえか」
と誉めだしたのでシカマルは面白くなさそうな顔をした。
何故そんなことをしたのかと聞かれ、いのは本当の理由を言おうとしたが、シカマルの「余計なことを言ったらただじゃおかない」というオーラを感じ取って、新しい術を試してみたかった、今は反省しているとごまかした。
 
それ以来、シカマルはちょっと吹っ切れたのかアスマから目を逸らすことが減ったようだった。アスマのことをお父さんと呼んでいるか否かは、残念ながらいのには知るよしもない。
 
 
おまけ
 
「子どもってかわいいよな‥‥」
「何よ、いきなり。シカマルくんとは上手くいったの?」
「ああ。いのとチョウジがイタズラしてな、それがきっかけでいい方向にいったよ」
「良かったわね」
「シカマルに後ろから抱きつかれて『お父さん』て呼ばれたら俺火影になれる気がする」
「はあ‥‥」
「なあ、紅」
「何?」
「俺の子を生んでくれねえか」
「!!」
 
 
 
 
 
(了)
 
ガイの言葉は何だったのさ。
恋愛じゃなくて親愛と受け取ったアスマさん。 
(1/27 いのの一人称修正しました。間違えてすみません‥‥。)
 
 
最初に考えた心乱身ネタ
サクラ「男の子どうしの術凄かったのよー」
いの「それくらい私もできる!心乱身の術!」
カカシ「おっと」
シカマル「うわ、カカシ先生、どこ触ってんすか」
カカシ「いや、手が勝手に」
シカマル「ちょ、そこは‥‥ああー」
いの、サクラドン引き
シカマル「てめえ術になんかかかってなかっただろ!」
カカシ「いやあ、はっはっ」
9行で終わるのでボツ。
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