記憶 2008/06/16 (Mon)

※カカ＋トンな感じです。
※トンボさんは目見えない設定で、書いてる人は目の見えない状態に詳しくないので
詳しい方にはイラッとする文かも知れません。ご注意＆ご容赦ください。

20年以上経っているのに

未だに褪せることなく、脳裏に残っている風景がある。

まだ見えていた頃の唯一つの記憶だ。

また見えるようになりたいと思う唯一つの理由でもあるな。

夕暮れの、燃えるような赤を飛ぶ真っ黒な烏のシルエット、

真新しいベストの緑色、

そして自分の目線より少しだけ上に、白銀の髪の毛。

その持ち主の顔はどうしても思い出せないけど

銀の髪が夕日を受けて、オレンジにきらきら輝く

俺が「美しい」という概念を理解できるのはその記憶のおかげだったから、

視覚に頼らなく、頼れなくなって、忍びとしての力量は上がったものの

ほんの一瞬だけでも、見ることができるようになるのなら

‥‥なんて思わずにいられねえんだ。

 

 

‥‥

‥‥‥‥

とか、酔った勢いで恥ずかしいこと話しちまった。

忘れてくれ。頼むから。

 

忘れろって。

 

 

ああ‥‥相手の見当はついてる。

俺が夢を「見る」としたらその記憶の範囲内でしかないから

それらが何を意味してるのか、散々考えた。

そいつは俺とほとんど年変わらなかったのに

中忍以上に支給されるベストをもう脇に抱えてて

サイズはちゃんとそいつの身体に合ってた。

明らかに特注だ。あんな小さいサイズなんて常備してねえからな。

俺と同じくらいの年で、20年以上前に中忍に昇格してて

さらに銀髪、っつうと。

 

まー‥‥

 

 

知り合いとは言えねえと思うぞ。

少しは会話したはずなんだが‥‥

内容なんて覚えてないし、声も思い出せないし。

その記憶に関しては

今俺が受けられる情報とまるっきり逆で

音とかにおいとか気配とか、そういうものは全く残ってないから。

ただ色とシルエットがあるだけ。

名前くらい言ったような気もするんだけどな‥‥

少なくとも俺の方は覚えてないし

向こうも俺の存在なんてさっぱり忘れてるだろうし

そもそも今の俺見たってわかんねえだろ。

あのときはまだ顔全部出してたんだから。

 

馬鹿、素顔は素顔であのときの面影なんてねえよ。

 

会ったってなあ‥‥

 

いや、あるよ。

会ったっつうか、お互い認識できる程度の距離にいたことはある。

話してはいねえ。

あの人が俺を見たかどうかもわからねえ。

俺も極力意識しないようにしてた。

 

何でって‥‥

 

うるせー、そんなんじゃねえ。

 

 

顔隠してるのってそんな怪しいか？

あの人暗部にいたんだから顔隠してる奴なんて珍しくないだろ。

隠してる場所も違うし

特別俺に興味持ったりなんてしねえんじゃねえの。

つーか俺が見たときはあの人、覆面だのマスクだのしてなかった、気がする。

帰り道ぽかったし、周りに他の人間いなかったと思うし

まだ6歳かそこらだったからな。

あの人の素顔はなかなか見られないんだっけ？

噂によると相当カッコイイとか。

覚えてねえのが残念だな。

 

 

あー‥‥だから、もう1回、ほんの一瞬だけでいいから見たいって。

できるもんならな。

そんだけ。

 

無理だと思うけど。

そもそも俺視覚が無いっていうか眼が無い。

眼球が無い。

移植も考えたけど、俺の体質ってそういうの難しいんだと。

合う目が見つかりにくいらしい。

それに移植できる眼なんてそうそうねえだろ。

別にどうしても必要ってわけじゃねえし

むしろ今じゃもうデメリットの方が多いかもな。

だから、死ぬ前に見られたらいいなって程度に考えてるだけ、

今のとこは。

 

 

それは‥‥答えなきゃ駄目か？

 

いや、何つうか、今更だけど恥ずかしい。

恥ずかしい答えになる。

 

予想済みかよ。言わせたいのかよ。

ここまで話しちまったんだからいいけど。

そうだな、見る以外なら‥‥触ってみたい。

吹き出してんじゃねえよ。

言っとくけど髪の毛の話だぞ。

他のとこは別に‥‥

‥‥‥‥

顔もまあ、どうなってるのか興味はあるけどな‥‥

 

そりゃ触ったら大体どんな顔なのかはわかるだろ。

わかる、っつうのは

お前らが普通に、見て知る、のとは感覚が違うかも知れん。

まあ、うん、触覚と視覚じゃ感覚違うのは当たり前だけどよ。

俺のはあくまで「わかる」だからな。

「知る」わけじゃない。

顔がどうなってるのか、視覚的に想像するってこともできねえ。

例えば「こいつは鼻が高い」って触ってわかったとしても

「高い鼻」を想像することはできねえんだ。

情報として「鼻が高い」ってわかってるだけ。

そういうの‥‥まー理解できなくてもいーんだけどな。

蛇足だった。

何の話だったっけ。

 

‥‥墓穴掘ったな。

いい、話戻さなくていい。

 

いいっつうの。

 

はいはい、触りたいです、触りたいですよ。

だってほんとに綺麗だったんだ。

俺が綺麗とか美しいとか思える対象はそれだけで

比べるもんは何もないんだけど

でも逆に、他に何も知らない状態で綺麗って思えるんだから

それはほんとに綺麗ってことなんじゃねえの。

‥‥ただ、ちょっと神格化しすぎてるような気はする。

実際にもう1回見たらそうでもないのかもな。

それならそれでいいんだ。

俺のあの記憶がこの先、薄れたりどんどん間違ったもんになっていくのが怖い

‥‥のかな。

そうか。怖いのかも。

だからもう1回見て確認したいのかも。

 

うるせー、自分でもわかんねえんだよ。酔ってんだよ。

じゃなきゃお前にこんな話するか。

もう行くぞ。

今日はちょっと飲み過ぎた。

 

 

 

 

（続？）

 

 

「うるせー」が口癖だけどほんとは1番うるさいのトンボさん。

トンボさんばっか話してんじゃん。

相手はご自由に妄想ください。夢も可か？

もっと普通の一人称の文で書きたかった。のでもう1話くらい書くかも‥‥

 

トンボさんのねつ造設定（読む方だけ反転でどうぞ）

視力失ったのは6、7歳。

それより前の記憶はほとんど無い。ショックでなくしちゃった。

以降、日常生活を過ごせるようになるまでに2年以上

相手の気配やチャクラを探って、杖等無しで動けるまでに3年以上

闘えるようになるまでに5年以上はかかった。

その経緯が考慮されてアカデミーは免除、

17、8歳でようやく忍びとして認められ

それからは凄い早さで中忍、特上に昇格。

暗部を経て、上の文現在は中忍試験官やってる。

上忍になろうって気が今のところ無いのは銀髪の人が理由かもしんない。

あの人もアカデミーは行ってないんでしたっけ？

それ公式？ねつ造設定？どっちでもいい、行ってないことにしよう。