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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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もやもやした気持ちのまま朝を迎えた。
随分早く起きた‥‥仕事は昼からだってのに。
別に目覚まし時計をセットしてたわけでもなかったんだけどな。
でもまあ、健康的でいいか。
早起きした分何をしようか、実は前の晩から考えていたことだった。
もし早く起きたら。起きられたら。
 
ん、ぐ、と目一杯伸びとあくびをして、涙目になりながら早速準備に取りかかる。
‥‥弁当の。
ほとんど昨日の残り物だし手間は全然かからない、かけたくない。
簡素に。手こんでなさそうな感じで。
特別なアレと勘違いされては困る。
ただ、少し言い過ぎたかなとか、俺カカシさんに冷たすぎるのかなとか。
思わなくもないから。
でも真剣に、悪かったなあとか好きだなあとか思ってるわけでもないから、今の俺ができるのはせいぜいこのくらいだ。
飯食いたがってたし、自炊しない人だし、栄養足りてるのかよくわかんない人だし。
俺が気遣ってやる必要もないけど。けどまあ。ううん。
 
しかし今日会えるのかはアヤシイ。長期任務の場合は里を出るのは昼前のことが多いから、上手くいけば‥‥朝のこの時間帯、カカシさんは慰霊碑にいる、かも。
会えなかったらゲンマさんかガイ先生にあげればいいだろう。別にカカシさんのために!ってんじゃない。先着順、会えた人順だ。それでいこう。
だってほんと、そういう特別な感情の入ったアレではないから。
夜中にも色々考えて、考えた末やっぱりよくわからなくて、わからないままでもいいのかも知れないと思った。
そんな急ぐことはない。他にも考えなければいけないことは沢山あるんだから。
適当に作った弁当を適当に包んで時計を見ると、8時を少し過ぎたところだった。
前に朝、慰霊碑に行って会ったときは何時頃だったか。もう少し遅い時間だっただろうか。
まあいい、慰霊碑の前では時が過ぎるのが早い。久しぶりに挨拶に行こうか。そういえばこのところあの場所でのんびり過ごすなんてこともなかった。
 
準備を終えて勢いよくドアを開けると、ドア越しに硬い何かがぶつかった感触があり、俺はびくりと身体を強張らせた。
な、何か当たった。ごつって言った。
おそるおそるドアの外を覗くと、カカシさんが額当てを押さえてうつむいてそこにいた。
「か、カカシさん?」
今アンタのところに行こうとしていたのに。
何だって気配もなく目の前にいるんだ。
俺がぽかんとしてると、カカシさんはすぐに顔を上げて
「あ、イルカ先生、その‥‥おはようございます」
と、緊張感のない声で挨拶を述べた。
「はあ‥‥」
それを聞いても俺はまだぽかんとしていたが、カカシさんは猫背に後ろ頭を掻くいつものスタイルを崩し、いや、正しくはいつものスタイルの方が崩れているんだけども、とにかく今日は背筋をぴんとまっすぐにしていたので、俺の方はさらにぽかんとした。
「昨日‥‥伺っても良かったのかわからなくて‥‥その、任務の準備もあったりしまして‥‥」
何でそんなかしこまってるんだ。
‥‥緊張してる、のか?カカシさんが?まさかな。
俺はしばらくぽかんの表情のままカカシさんを見つめていた。するとカカシさんはそれを受け止めたり目線を泳がせたりした後、耐えられなくなったかのように顔をそむけた。隠れていない部分の肌がうっすら赤く染まってるのが見えて、俺は何故か急に脱力した。
「あの‥‥い、イルカ先生?」
「何ですか」
「‥‥怒ってますか?」
「何でですか」
俺の声は普段の調子と同じだったけど、それはつまり若干冷たいという意味で、カカシさんはせっかく伸ばしていた背筋をやっぱり普段通りに丸め、明らかにしゅんとなった。
「‥‥別に怒ってません。ちょっとショックでしたけど」
カカシさんが顔を上げたのと同時に、今度は俺が顔を少しそむけ、目を合わせないようにして話した。
「アンタがうちに来るんだと‥‥来てくれるんだと、思ってましたから」
「‥‥へ。え?」
カカシさんが間の抜けた声を上げたが、俺は気にせずぼそぼそと続けた。
「弁当、作ったけどいりますか」
「へ、あ、えっ、い、いいんですか?」
「ドウゾ」
手渡した包みを震えながら受け取るカカシさんに、俺の方も震えていた。
それを押さえるためにさりげなく腕を組んで。
「俺‥‥は、今のところ、アンタのことをどう思ってるのかわかりません」
「‥‥‥‥」
「嫌いではない‥‥ですけど、その程度なのかそれ以上なのか‥‥もっと‥‥なのか‥‥」
カカシさんが目見開いて顔真っ赤になってるのはわかっていたので、見る必要もないと思い俺はうつむいた。俺の顔ももしかしたら、もしかしたら少し赤くなってるのかもしれない。少しな。
「だから、本気じゃないなら今のうちに離れてください。‥‥本気なら、今離れられたら俺、きっとすぐ別の人に気持ちが傾いてしまう‥‥だ、だから」
だからちゃんと側に、とは言えなくて、俺は唇ときゅ、と噛んだ。
「でも正直言うと俺はアンタに本気にはなりたくないですから」
震えていた声を抑えつけるように、できるだけいつもの調子に聞こえるように、無理矢理声を張って言いながら顔を上げて、ふん、と息をついた。
「せいぜい任務頑張ってきてください。10日間より長引くように」
「い、イルカ先生」
カカシさんはまだ赤い顔で、見えてる部分だけで綺麗に困った表情を作ったが、すぐにぱっと笑顔になると、
「イルカ先生の気持ちが聞けて良かった。会わずに出発しようと思ってたんですけど‥‥あの、これ本当にもらっちゃっていいんですか?」
と弁当に目をやった。
「今更駄目と言われても返しませんけど」
「どうぞ。大したもんは入ってませんよ」
「‥‥これ、俺のために作ってくれたんですか?」
「アンタに会えなかったらゲンマさんにでもあげようかと思ってましたけどね」
「え‥‥!!」
カカシさんの顔から血の気が急に引いていったのがわかり、俺は苦笑した。
「あ、あの、俺いない間にゲンマになびいたりはやめてくださいね!1週間‥‥いや、3日、3日で帰ってきますから」
「無茶言わんでいいです。任務はきちんとこなしてきてください。そんな短期間じゃ‥‥俺、ゲンマさんのこともよくわかってないです、カカシさんに言ったのと同じ意味で‥‥でもわかってないからこそそんな短期間では答えは出ないです、多分」
「‥‥なんか、凄く不安ですけど‥‥え、ゲンマのことも好きなのかもしれないんですか!?」
「す、好きかもなんて言ってません」
「え、そういうことなんじゃないんですか」
「‥‥早く任務行ったらどうです」
「ハイ‥‥。これほんとにありがとうございます。早く帰ってくるんで、待っててくださいね」
「待ちません」
「行ってきます!」
最後の言葉は聞こえてたのかどうか、カカシさんはドロンという音と共に姿を消した。
‥‥急に眠気が。あと、疲れが。
俺はもしかしてとんでもないことを言ったんじゃなかろうか。今更だけど。
まあ言ってしまったものはしょうがないし、カカシさんはこれから少なくとも1週間は帰ってこないだろうし。
再び、ぐ、と大きく伸びをして、昼以降も起きてられるようにコーヒーを入れようと家の中へ戻った。
飲んだら今日は慰霊碑に行ってこよう。
 
 
慰霊碑前で思いを馳せる、なんて行為は、少なくともバチの当たる類ではないはずだ。
そりゃ、最近は来てなかったから。そう言う意味でのバチが当たったのかもしれないけど。
慰霊碑で小1時間ほど過ごし、帰ろうとした俺は途中の道でばったりアンコさんに会ってしまった。
会うくらいならまだ良かったのだが。
「あ、そうか、イルカも結構慰霊碑に来るんだっけ」
俺「も」とは、他に誰のことを言ってるんだろうと思いつつ、俺はなるべく早くこの場を立ち去りたかった。
何せこのところのアンコさんのアタックと言ったら、異性愛者の成人男性にはいささかきついものがある。普段から露出度はまあ高めの人だけど。いつもより胸元のあいた服といつもより短めのスカート‥‥それどこで売ってるんだ。
「イルカったら最近冷たいのねー。前はもっと飲み付き合ってくれたのにさ」
わ、近い。ていうか‥‥腕に当たってるんですけど。当ててんのか。当ててんのか。
5代目ほどではないにしろ、アンコさんもスタイルはなかなか‥‥   5代目と比べるのが間違ってるのか、そうか。
精神的に男性に傾きかけてるとはいえ、肉体的には俺はどうしても女体の方が好きだ。ごつごつしたのより柔らかいのの方が好きだ。だから、こんな状況は非常に困ると‥‥困るのに‥‥!
「顔赤いケド。何か変なこと考えてるでしょ」
「か、考えてません」
「そうなの?私は考えてるんだけどなあ‥‥」
腕に当ててるばかりか手を握ったり指絡めたりするのはやめてください‥‥と言っていいのか駄目なのか。いや、言わないとエスカレートするだけなんだが。だが。‥‥いかん。俺最近溜まってたっけ‥‥?アンコさん凄くいいにおいする。あ、うあ、やばい。
「イルカって今日午後からでしょ?ちょっと寄り道しよーよ」
「え、う、いや、」
「このところずっと誘い断ってるじゃない。埋め合わせしてよね」
埋め合わせって文字通りのアレですか‥‥と半ば俺の理性がトビそうになったときだった。
「アンコ‥‥と、イルカ。そんなとこで何してるんだ」
まだナニもしてません、と思いながら振り向くと、そこには呆れ顔のライドウさんが立っていた。
「お、おはようございますライドウさん」
助かったのか残念なのか、いやドMにさせられなくて良かったんだ、とほっと溜息をつきながらライドウさんに挨拶すると、何故かアンコさんはむすっとした表情でライドウさんを睨みつけ、
「何よ、アンタには関係ないでしょー。これからイルカとイイトコ行くんだから邪魔しないでよ」
と俺の腕にしっかりしがみつきながら言った。う、え。
ライドウさんはさらに呆れたような顔をするか、俺を気の毒そうな顔で見るかと思ったんだが‥‥何故か真剣な表情でアンコさんを見つめている。
「お前は‥‥まだそういうことしてるのか」
「そういうことって何。私が何しようが勝手じゃない」
アンコさんは睨んでいた目をふいと横に逸らした。俺にしがみついてる腕が少しだけ震えてる。
‥‥なんだ、この展開は。
「アンコ‥‥イルカには他に相手がいるだろう。いい加減にしたらどうだ」
いや、待った、俺まだ相手を誰かに決めたわけでは。
「だから、ライドウには関係ないでしょ。口出しする権利なんて無いじゃない」
「‥‥放っておけないから言ってるんだ」
「随分おせっかいなのね。ほっとけないってだけ?それとも私に未練でもあったりして」
「当たり前だろう」
「‥‥え」
「お前みたいな奴には‥‥俺みたいな、ちゃんと常識ある大人がついててやらないと」
「‥‥そうやって、いっつも子ども扱いして‥‥」
「そりゃあお前はまだ子どもだ。‥‥だから、俺が責任持って大人の女にしてやる、から‥‥」
「‥‥‥‥」
「俺の側にいろ。今度は‥‥投げ出したりしない」
「ライドウ‥‥!」
‥‥‥‥あの。
アンコさんが俺から離れて、泣きながらライドウさんに抱きついたのはいいとして。
ライドウさんもそれを受け止めて抱きしめて頭撫でてるのもいいとして。
完全に空気と化した俺はどうすればいいんですか。
‥‥教えて、ガイ先生。
 
 
 
「あー。アンコは昔っからライドウに惚れ込んでてなあ。何だっけ、ビッチ扱いされたアンコをひとりだけかばってくれたのがライドウだったんじゃなかったかな。本人は全く気にしないんだけど、そういうの。そんでアンコが猛烈にアタックかけて何とか付き合ったはいいものの、あいつらって性格が対極じゃん?アンコも最初は大人しくしとやかにしてたけど限界来たみたいで。結局別れてさー。その後はライドウはずっとひとりだったけど、アンコはころころ相手変えて。真面目な性格のやつばっか狙ってたのはやっぱライドウのことが忘れられなかったのかねえ。ライドウの代わり?大体さ、おかしいと思ったよ、アンコが慰霊碑に通ってるなんてさ。ライドウに会えるかと思ってたんだろうな。ライドウは毎日行ってるから。3代目とかハヤテとか‥‥。でもライドウの方もまだアンコのこと想ってたなんてびっくりだよなあ。いや、正直あいつら別れたのは俺が原因ってのもあるんだけどね!俺毎朝ライドウんとこで飯ごちそうになっててさあ、朝起きたら俺がいるのが気にくわなかったらしいの、アンコ。友達なんだからそれくらいいいじゃんなあ。とにかくそういう些細なことが嫌で別れたらしいんだけど、まあ今はお互い成長したし、乗り越えて行けるんじゃね?」
 
解説はアオバさんがしてくれた。
精神的に異様に疲れた俺は、まあ半分以上聞き流してたんだけどな。
とにかく‥‥アンコさんについてはもう考えなくていいんだ、これは進歩だ。いいことだ。
ちょっとだけ残念だったなんてことは決してない。
ライドウさんに抱きついて泣きながら謝るアンコさんがかわいかったなんてことは決してないんだ。
 
 
 
 
 
(続)
 
 
朝食はライドウさんのところで取る、というアオバさんはクロ雨蛙様のアオバ語りから。リンクから飛んで是非読んでみてくださいね。
しかしこのアオバさんは三十路じゃないですね。軽すぎる。
ライアン(名前みたい)はライドウさんに関して言えば最も萌えるCPなんですが。どうなんですか。強がるアンコさんと、全部わかっててもどうしていいのか迷うライドウさん。
アンコさんはライドウさんに対してだけはMに転向できます。
カカイル部分はすんごく頑張ったんですけどね。いやあくやしかった。
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