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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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このトップ絵を小説化したものです。


シカマルが公園で猫に埋もれて昼寝してるの見たときからかなあ。
それまではただの問題児ってイメージしかなかったのに、「かわいいなあ」って思い始めた。
俺が膝枕してやったら、ちょっと照れながら「今度は俺がイルカ先生に膝貸してやる」なんてさ。こいつもかわいいとこあるんだなってちょっときゅんとしたよ。
 
 
その後すぐに中忍試験が始まって、膝枕どころじゃなくなった。俺はナルトや他の元教え子達が心配で眠れない夜をいくつも過ごしたけど、全員無事で、何人かは第3試験の本選にまで残って。ひとまず胸をなで下ろした。
予選と本選の間には1ヶ月の修業期間が設けられた。ナルトはエビス先生の元でお世話になると言うし、もうあいつらの力を信じるしかない。もちろん信じてるさ‥‥だけどちょっとはやっぱり心配だ。同僚がいつも俺のことを心配性だと笑う意味がやっとわかった。
 
そんなときにまたシカマルを見つけた。もう日が暮れてけっこう経つのに家に急いで帰る風でもない。
「こんなとこで何してるんだ」
俺が声を掛けると、シカマルは驚いた顔で振り向いた。ちょっとの間ぽーっとして、それからハッと気付いたように慌てて話し始めた。
「修業、の、帰りです」
何故か口調がたどたどしかった。このときも俺は「かわいいなあ」って思った。
そうだ、シカマルも本選に残ったんだった。噂によると頭脳戦で音隠れの忍びを見事に打ち負かしたとか。そんなに機転の利く奴だとは知らなかった。俺って教師としてもほんとまだまだだよなあ。
「頑張ってるんだな。アカデミー時代のお前から見たら随分成長したなあ」
笑って頭を撫でてやると、シカマルはちょっと顔をしかめてそっぽを向いた。子ども扱いすんな、って声が聞こえてきそうだ。でもそれほど嫌がってる風でもない。
「こんな時間まで、家の人が心配してるんじゃないのか」
こんなこと言ったらまた子ども扱いすんなって思われるだろうかとちょっと不安だったけど、シカマルは特に表情を変えずに答えた。
「オヤジも母ちゃんも任務でいないから」
そう言えばシカクさんへの任務依頼書をちらっと見たっけ。Aランク、1週間の任務。
「‥‥ひとりなのか」
もちろん、俺が経験してきた孤独とは質が違う。シカマルの両親は帰ってくるのだから。
それでも絶対帰って来るという保証はないし、「家に帰ったって誰もいないから、それなら外で過ごしていた方がいい」という気持ちは一緒だと思った。俺は今でもまだそんな気分になることがある。
「うち来るか?」
思わずそう言っていた。シカマルは目をまんまるにして、ポカンと口を開けていた。‥‥うん、やっぱりかわいいと思う。
「どうせ俺もひとりだしさ、何なら泊まっていけよ」
せっかくの機会だ、シカマルとじっくり話をしてみたかった。
シカマルはさっきの表情のままでしばらく固まっていたが、やがて目を泳がせてちょっと迷った風な顔になり、最終的には「行く」とこくんと頷いた。
 
 
お互い飯がまだだったので一楽へ寄った。ナルトは味噌派だったなあ。シカマルは醤油派かあ。
食べている間、家までの道のりの間、家に帰ってのんびり茶を飲みながら、色んな話をした。中忍試験で何があったとか、これまでの任務で大変だったのとか、アスマ先生の裏話とか。
シカマルは意外と話が上手いと思った。ああ、俺全然こいつのことわかってなかったんだな、って改めて気付かされたよ。
 
話してるのが楽しくて、それにナルトが泊まりに来たときはいつもそうしてるからだけど、ついシカマルにも「風呂一緒に入るか」と言ってしまった。シカマルは真っ赤になって「子ども扱いすんな!」って怒った。あ、ついに言葉に出された。俺は苦笑してシカマルが風呂に行くのを見送った。
まあ俺も風呂は長い方なんだけど、何となくシカマルは早風呂なイメージがあって。1時間くらいしても出てこなかったからちょっと不安になって様子を見に行った。
風呂場の前で耳を澄ませてみても、中からはちょっとも音が聞こえない。これはもしや‥‥と俺はそっとドアを開けた。
「シカマル?」
 
あー、やっぱり。こいつは絶対こういうことすると思ったんだ。予想通りすぎてちょっと吹き出した。
 
シカマルは湯船で眠っていた。もー、危ねえなあ。溺死ってのは海やプールより風呂で起こる方が多いんだぞ。まったく。
しかし寝顔を見てたら何だか起こすのが惜しくなってきた。凄く気持ちよさそう。下ろした髪が上気したほっぺたにかかってる。中忍試験受けてる最中って言っても体つきはまだ子どもだよなあ。腕とか細いし、筋肉あんまりついてない。俺が12歳のときもこんなだっけ?
 
そんなことをぼやぼや考えていたら、シカマルがいつの間にか目を覚ましていた。ここどこだ、みたいな顔でぼーっとしてたけど、俺が笑って「おはよう」って言ったら、これ以上ないくらい顔を真っ赤にして、慌てて前を隠した。別に男同士なんだから気にしなくていいのに‥‥。
シカマルはどもりながら「何で」と言った。その様子が、普段のぼけーっとして「めんどくせえ」が口癖のシカマルからは想像もつかなくて、俺は声出して笑ってしまった。そしたら凄く怒られた。俺は笑いを堪えながら、でも堪えきれなくてちょっと口元緩みながら、のぼせるからもう寝るなよとだけ言って風呂場を出た。
 
それからほどなくしてシカマルが上がってきた。顔は赤いまま、目合わせようとしない。俺が貸したパジャマの余ってるすそをずっといじってる。そんな恥ずかしがることだったかなあ‥‥このくらいの年って難しいんだよな。ナルトもそうだ。うっかり言っちまった言葉ですぐ機嫌を損ねる。でも、かわいいなあ。
そんなことを考えながら俺も風呂に入った。ああ、せっかくなら何か入浴剤とか買っておけば良かった。今度は用意しておこう。またシカマルが来てくれるならだけど。次は一緒に入りたいよなあ。ナルトは背中流してくれるのになあ。
 
俺が風呂から出ると、シカマルはベッドで枕に顔をうずめて、うつぶせになって寝てたけど、すぐにガバッと起き上がって慌ててそこから降りた。寝ててもいいのに。眠い?と聞くとシカマルはぶんぶんと首を横に振った。修業で疲れてて眠いくせになあ。風呂で寝てたくらいだし。
それからまた他愛のない話をして。ふと、会話が途切れたとき、シカマルは俺をじっと見て何か言いたそうにしていた。
「どうした?」
「‥‥ん」
自分の膝をぺちぺちと叩く。ああ、膝枕してくれるのか。ちゃんと覚えててくれたんだな。俺は嬉しくなって、すぐにそこに横になった。おお‥‥これは‥‥。子どもの身体って柔らかくてあったかくて、凄く気持ちいい。知ってたけど再確認な。
「シカマルは気持ちいいな‥‥」
思ったことをそのまま口にしたら、何故かシカマルはまた真っ赤になった。よく考えたらちょっとアヤシイ台詞だったか?ま、いいだろう。
 
あんまり長く膝借りてるのも悪いかなあと思った。人の頭ってけっこう重いし。足疲れるよな。そう思ったんだけど‥‥あんまり気持ちよくて、ついついそのままうとうとしてしまった。
 
「イルカ先生?」
 
シカマルの声が聞こえた気がしたけど、俺は返事が出来なかった。このまま眠ってしまえたら幸せだなあ‥‥なんて。
細い指に髪を撫でられてる感じがした。ほんとにそうされたかどうかは自信がない。でもますます気持ちよくなってたことは確かだ。
 
その後、なんだか柔らかい感触がした。唇に。ん、あったかくてぷにぷにする。気持ちいい。‥‥ん?何か吸われてる?
何だろう、と思ってやっと目を開けた。
 
「うわっ」
 
どっちの声だったか。それともふたりともそんな風に叫んだんだったかも。俺はびっくりして起き上がった。シカマルは口を押さえて顔真っ赤っかで固まってる。‥‥っていうことは、やはり。
俺も無意識のうちに唇に手をやっていた。感触がまだ残っている。
 
キス、された?シカマルに?俺が?何で?
 
お互いにしばらく固まったままでいた。シカマルが涙目になってるのに気付いて俺はようやく我に返って、口から手を離してシカマルに声を掛けた。でも何て言っていいかわからなくて、名前を呼んだだけだった。
シカマルは今にも泣き出しそうな顔になっていた。いたずらがばれてこっぴどく叱られる寸前の子どもって感じ‥‥まあ、そのまんまなんだけど。こいつのこんな顔初めて見た、と俺はついまじまじと見てしまった。今までどんなに叱りつけても、泣くなんてこと絶対になかったのに。かわいい‥‥って思うのは‥‥不謹慎か。
 
「ごめん、なさい」
 
やっとそれだけ言って、シカマルはまた黙り込んだ。
「別に怒ってないけど‥‥」
まあ、キスぐらい。俺だってもう25歳なんだから、その程度でぎゃーぎゃー言うようなことはしない。むしろシカマルへの「かわいいなあ」が倍増した。それはいいとして。
 
何で俺なんかにキスしたんだろう、と不思議だった。シカマルはまだ12歳なんだから、下手したらファーストキスとかいうやつじゃないのか?それともこんな年離れた男相手のキスはノーカウントか?それでいいのか?目の前に無防備な人間がいて、ついムラムラしちゃったのか?だからってこんな年離れた男相手に‥‥なあ、それってさ。ただの予想だけど、違ったら全然気にしないでほしいんだけど。
 
「もしかしてシカマル、俺のこと好きなのか?」
 
シカマルは目見開いて唇を震わせた。何か言いたげだ‥‥でも何も言わないで顔背けた。あれ。
「‥‥違うのか‥‥何だ」
これは俺が言ったもののはずだが、自分で驚くくらい残念そうな声が出た。
「じゃあ何で俺に‥‥いや、そういうこともあるか。うん。そうだよな。ちょっと変な気分になることはあるよな」
シカマルがずっと泣きそうな顔でいるからさすがにかわいそうになって、俺は努めて明るく言ってうつむいてるシカマルを覗き込んで笑いかけた。
「ほら、怒ってないから」
でも何故かシカマルに睨みつけられて、俺は驚いて怯んだ。
「‥‥そうだよ」
「シカマル?」
消えそうな声だったシカマルは、次に口をひらいたときにはほとんど怒鳴っていた。
 
「そうだよ、俺はイルカ先生が好きなんだよ!アカデミーんときからずっと好きだったよ!だから、き、キスくらいしたくなったって当然だろ!俺の気持ちに少しも気付かねえで無防備に眠ったりして、どこまで鈍いんだアンタは!」
 
一気にまくし立てると、シカマルは俺の顔を、両手でほっぺたを挟む形で固定させて、俺の唇にちゅうっと吸い付いた。
突然の告白に俺は何が何だかわからなくなり、ただ呆然と唇を吸われたままでいた。シカマルは息の続く限りそうして、軽く音を立てて唇を離した。その音で正気に戻ったのか、慌てて俺からも離れて再び口を手で押さえた。
 
またお互いに呆然として固まっていた。

シカマルが俺のことを好きだと‥‥好きって、つまり、そういうことか。キスしたいとかそういう類の好きなのか。俺のことを?う、うわ。ほんとかよ。でもあんな風に態度で示されたら信じないわけにいかないよな‥‥そうか。好きなのか。え、アカデミー時代から好きだったのか?全然気付かなかった、ていうかこれまで特に態度にも出してなかっただろ!そんなのわかんねえよ!まあ、鈍感ってのはよく言われるけど‥‥。ええと‥‥どうすればいいんだ?俺も好きだよ、って返せばいいか?いやいや、落ち着け俺。シカマルはまだ12歳だぞ。俺は25歳だ。一回り以上も離れてる。お付き合いとかできるような年じゃねえだろ。それに男同士だ。教職者たるもの同性愛に偏見があってはいけないと思うが。いやいや、教職者だからこそこんな子どもと付き合うわけにはいかないだろ!そう、そうだよ。シカマルはまだ子どもだ。そりゃ、好きだけど。俺だってシカマルのこと好きだけど。かわいいよ。キスぐらい全然かまわない。シカマルのキスかわいいな‥‥物凄い吸い付いてきて赤ちゃんみたい。あ、いやいや、いかんいかん。12歳は犯罪だって。せめて18くらいにはならんと‥‥それまで俺のこと好きでいてくれないよなあ‥‥6年後?俺31歳?ううん‥‥シカマルだって若い子の方がいいだろうし‥‥でも今は俺のこと好きなんだろ?これ逃すの惜しいなあ。いや、惜しいとか言ってる場合じゃなくて。
 
と、5秒くらいの間に色々考えたんだ、俺は。
 
でもやっぱり、シカマルの人生を思ったら、俺なんかが軽い気持ちで手出しちゃいかんよなあ、という結論に達してだな。
「あのな、シカマルの気持ちは凄く嬉しい。俺もシカマルのことは好きだよ。大好きだ。でもお前はまだ12歳だろ?せめて‥‥15歳くらいにはならないと、そういうことは‥‥」
あれ、つい年齢引き下げてしまった。15でも十分犯罪だろ!落ち着け、俺。
「イルカ先生‥‥俺のこと好き、なんですか」
シカマルの目がちょっと輝いてる。か、かわいいなあ。ええ。何かぎゅってしたくなるなあ。でもしたら駄目だ‥‥ここでしたら流される。俺は頷くだけにしておいた。
 
「‥‥じゃあ、中忍になったら付き合ってくれますか」
 
「へっ」
シカマルが真剣な顔で言う。ちょっとドキッとした。
‥‥中忍になったら?今回の試験、そんなに自信あるのか?しかし‥‥俺が中忍になったのは16歳の時だ。これは別に遅くもない。もちろんもっと早い人は沢山いるけど、何度も受験しても下忍のままで引退する人だって少なくないわけだし。シカマルは頭の回転が速いそうだが、初めての試験で合格するのは厳しいだろう。あと数年はかかるに違いない。
「イルカ先生と同じ階級なら文句ねえだろ。俺‥‥イルカ先生が思ってるほど子どもじゃない」
言って、シカマルはふくれっつらになって口を尖らせた。そういう仕種が子どもなんだけどなあ。
ううん‥‥昇格試験にそういう私情を持ち込むのはどうかと思うけど、別に俺のためにってだけじゃないし、めんどくさがりのシカマルにはちょうどいい起爆剤なのかも知れない。やる気を上げられるなら。それに俺自身シカマルと‥‥いや、今のはナシ。
 
「わかった。シカマルが中忍になったとき、まだ俺のこと好きだったら付き合おう。でも無茶はするんじゃないぞ」
俺がついにそう言うと、シカマルは途端に笑顔になって、でもすぐにそれを恥じたようにうつむいて、でもやっぱり頬が緩むのを抑えきれないでいた。ほんとシカマルはかわいいなあ、と思って、俺は思わずシカマルの頭を撫でた。
あー、ぎゅってしてちゅってしたい。
 
 
その夜は一緒のベッドで寝たわけだけど、お互い自制するのに必死だった。と思う。眠ってる間にキスしたら駄目だぞ、と俺が言うと、シカマルは真っ赤な顔で、もうしねえよ!と怒った。ほんとにしなかったかどうかは定かではない。俺もシカマルのあったかい身体を抱きしめたくてうずうずしてたけど、このところの寝不足が響いてすぐに寝入ってしまったから。
 
目を覚ましたときにはシカマルは隣にいなかった。ちゃぶ台の前に座っていたので、早いなあと思ってよく見たらそこに突っ伏して眠っていた。風邪を引くような季節じゃないけど、何だってここで寝てるんだ。起こしたらシカマルは、早くに目が覚めたから起きたけどまた寝てしまった、のようなことをぼそぼそ言った。もしかして俺の隣にいたら我慢できなくなるからだったのかなあ、と後から思った。‥‥いや、俺の寝相のせいかもしれない。

  
中忍選抜試験第3試験の本選が始まるとほとんど同時に、里は危機に陥った。大蛇丸による木の葉崩し――それによって俺たちは大切な人を亡くした。この辺りは、詳しく説明する必要はないだろう。
3代目や多くの優秀な忍びを失った里は、それはもう大変なことになった。子ども達と戯れる時間は俺の重要な癒しだったのに、アカデミーはほとんど休校状態、代わりに任務に追われる日が続いた。
 
俺が中忍試験の結果を聞いたのはそんな頃だった。
 
 
 
 
 
 
シカマルが敬語使うのが好きなんだ。
 
 
ああ、うん、枕に顔うずめてたシカマルはもちろんにおいをかいでたんだと思いますが。
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