NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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中忍なんてめんどくせえけど、ずっと想い続けてきたイルカ先生と同じ階級だと思えば悪くなかった。これでやっと対等の立場になれたと思った。恋人同士とかいう奴でもあるわけだし。
嬉しい、すげえ嬉しい。幸せだ。それは間違いない。
ただ‥‥やっぱりどうしても不満ってのはあるよな。
「中忍昇格祝いに何か買ってやろうか」
イルカ先生は病院からの帰り道で、俺の肩を抱き寄せながら言った。
欲しいもんあるか?と顔を覗き込まれたと思ったら頬にキスされた。
さっきからこの人は‥‥周りに人の気配がないからって、少ししすぎじゃねえか。外でこういうことすんの嫌いな人かと思ってた。真面目で常識人だと‥‥まあ、いいけど。
さっきからこの人は‥‥周りに人の気配がないからって、少ししすぎじゃねえか。外でこういうことすんの嫌いな人かと思ってた。真面目で常識人だと‥‥まあ、いいけど。
「でもさっき‥‥してもらったし」
正直物もらうよりイルカ先生と1日一緒にいられるとかの方が、と思った。別に他に欲しいもんなんてねえしなあ‥‥ってイルカ先生を見上げて、あ、と思いついた。
「それは謙虚すぎるだろ。何がいいかなあ‥‥焼き肉はアスマ先生の持ちネタだしなあ」
持ちネタ‥‥アレってネタなのか?あいつは子どもには肉食わせときゃいいと思ってるからな。大体当たりだけどよ。
「じゃ、さ‥‥」
「ん?」
「髪結ぶ紐、が、いい」
言って俺はうつむいた。顔色をコントロールする方法とかねえのかなあと思った。
「なんだ、そんなんでいいのか」
イルカ先生は俺の髪をもさもさいじった。
今結んであるのは何の変哲もない、オヤジも使ってるような奴だ。別にこだわりもねえし、いのみたいに気分によって色を変えるとかもめんどくせえから絶対しねえんだけど。
「い、イルカ先生と同じのが欲しいんすけど」
ようやく出た声、小さすぎてイルカ先生まで届くか不安だった。こんな台詞だから聞こえてない方がむしろよかったのかも知れねえ。でももう1回言うのは無理だ。
それでもイルカ先生にはちゃんと聞こえていたようで、途端にぎゅうって抱きしめられた。ちょ、あの、もうすぐ俺んちだし、オヤジか母ちゃんにこんなとこ見られたら大変なことになるんすけど。抵抗なんてできねえんだぞ。嬉しいから。
「シカマルはほんと‥‥わかった、今度休み合う日、一緒に買いに行こう」
そう言って、イルカ先生はそのまま耳元に唇を押しつけた。く、くすぐったい。くすぐったいっていうか‥‥いや、その。
家の前まで来て足を止めた。最後にもう1回だけキスできるかなあ、とか俺は考えてたけど、すぐ後ろに気配を感じて振り向いた。‥‥オヤジがポカンとした顔で立ってた。
「あ、シカクさん。こんばんは」
イルカ先生は爽やかな笑顔で挨拶してる。オヤジも、おお、イルカか、とか言ってる。
ええー‥‥いつからいたんだ‥‥気配消してた?いや、俺が気付かなかっただけかも‥‥急に現れたっていうよりそう言えば後ろに何かいた、って感じだった。えええ、み、見られた?どっから?少なくとも俺がイルカ先生に抱きついてたとこは‥‥イルカ先生も俺の肩抱いてたし、その前には耳やら頬やら口やらにキスしてたんだぞ。それ見られてたらさすがにアウトだ。でもオヤジの反応が割と薄いとこ見るとギリギリセーフか?
イルカ先生とオヤジの会話はほとんど聞いてなかったが、おめーら仲いいなあ、シカマルが中忍に昇格してつい嬉しくなっちゃいまして、とか何とかだったと思う。いいのか、それで丸く収まるのか?いいのか‥‥。
オヤジは俺に「ちゃんと送ってもらった礼言えよ」とだけ言って先に家に入っていった。空気読んだのか‥‥いや、考えすぎかな。
「じゃあシカマル、またな」
イルカ先生は言いながら俺の頭を撫でた。撫でられるのは子ども扱いされてるみてえで好きじゃない。イルカ先生だから許すんだ。
そうしてまた唇を寄せてきたので、俺は慌てて遮った。この位置は家ん中から見えんだよ!母ちゃんに見られたら確実に終わる!
「もう外ではしねえから!誰かに見られたら困んだろ、イルカ先生だって」
「ん、俺は別に気にしないけどなあ」
え‥‥。
イルカ先生はちょっと困ったような笑顔になった。あ、かわい‥‥いやいや。
何でそんな顔するんすか。俺だってキスしてえって。キスどころかその先までしたくてうずうずしてる。
でもそんなこと言ったらアンタはきっと、俺はまだ子どもだから、とか言って取り合わないに決まってる。俺が恥ずかしい思いして終わるだけだ。俺がどれだけ理性を総動員して我慢してるか知らねえだろ?外で制御が効かなくなったら、めんどくせえなんて言葉じゃすまねえんだぞ。
俺が黙ったのを見て、イルカ先生は
「わかったわかった、ごめんな」
と言って、結局手をちょっと握っただけで帰っていった。
俺はイルカ先生が見えなくなるまでそこに立ってたけど、風が冷たいのに今更気付いて家の中に入った。
リビングではオヤジと母ちゃんがのんびりテレビを見ていた。テレビに集中してたんならイルカ先生と俺の行動も見てなかったはず、と俺はほっと溜息をついた。でもオヤジに何か言われるのが怖くて、まっすぐ自分の部屋に入った。
あー‥‥。
ベッドに倒れ込んだ。
イルカ先生の感触が残ってる。手に、肩に、耳に、額に、唇に。
ヤバイ‥‥。
やっとチョウジと面会できて、無事な姿見られて安心したとこに来るんだもんなあ。
次俺いつ休みだっけ。任務はしばらくなさそうだけど、雑用が多いんだよな。イルカ先生も任務で里出てること多くて受付にいねえし。会いてえなあ。‥‥さっき別れたばっかなのに。
うー、あー、と俺はしばらくベッドをごろごろしていた。そこへ
「シカマル?」
といきなり母ちゃんが入ってきたので、びっくりして跳ね起きた。
「な、な、何だよ!ノックぐらいしろよ!」
「何よ、色気づいたこと言って‥‥ああもう、またベストのまま寝てる!帰ったらすぐ洗濯に出しなさいって言ったでしょう!」
もー、めんどくせえ、ちょっと忘れてただけじゃねえか‥‥。
「早くお風呂入っちゃいなさい!」
そう言ってドアをバタンと閉めて出ていく。やれやれ。
俺はのろのろと風呂の準備を始めた。
‥‥危なかった。あと5分遅かったらズボン降ろしてた。
まったく、余韻に浸る暇もねえのか、この家は。
イルカ先生には割とすぐ会えた。あれから3日後のことだ。
俺はイズモさんの後について書類運びとか整理とかやらされていた。命懸けの任務よりはマシかも知れないが、果てしなくめんどくせえ。
でも書庫にいたおかげで任務の情報取りに来たイルカ先生に会えたんだから、そう悪い仕事じゃない。
俺の姿を見つけたイルカ先生は、犬みたいに駆け寄ってきた。満面の笑顔で。
「シカマル!‥‥あ、イズモ、お前もいたのか」
「よう、イルカ」
イズモさんに先越された‥‥まあでも俺の名前先に呼んでくれたし、すぐこっちに向き直ったからいいか。
「書類整理かあ。俺もよくやらされたな」
そう言ってイルカ先生は俺の頭を撫でた。またかよ。
「大変だろうけど頑張れよ。‥‥あ、じゃあ俺、もう行くな」
もう行っちゃうのか‥‥資料取りに来ただけだもんな。忙しそうだな。
そんなことをぼんやり考えながらイルカ先生を見てたら、何を思ったのかイルカ先生は俺の口に、さっとかすめるようなキスをした。
「あ、え‥‥!?」
ちょ、ちょっ‥‥イルカ先生!!
「またな、シカマル」
イルカ先生は何事もなかったかのように、笑顔のまま手を振って出ていった。
後には顔真っ赤にしてる俺と、唖然としてるイズモさんが残された。
おい‥‥どうフォローしろってんだ!?
「‥‥仲いいんだ?イルカと」
しばらくの沈黙を破ったのはイズモさんの方だった。
「あー‥‥イルカ先生、たまにあーいういたずらするんすよね‥‥」
いたずら、で誤魔化せるとも思えなかった。何せ唇にしたんだからな。
でもイズモさんは、ああ、と納得したように、
「あいついたずら好きだもんな。今はすっかり真面目になったかと思ってたけど、やっぱりまだいたずら小僧魂が残ってんだな」
と言った。
いたずら小僧‥‥?
「そうなんですか?イルカ先生が?」
「うん、中忍になる前までは相当だったよ。うずまきナルトといい勝負だな」
そんなに!?
それはちょっと気になる‥‥今度聞いてみっかな‥‥。
その1件で終われば良かった。俺だって、笑って許せる。
でもイルカ先生は、俺と会うと誰に見られようが場所がどこだろうがかまわずスキンシップをしたがった。
頭を撫でる、は別にいい。それくらいなら大人しくされててやる。
抱きしめる‥‥は、ナルトや小さい子ども達にやってるのはよく見るから、そんな感覚なのかとも思った。だからまあ、いい。
キス‥‥俺、外ではもうしないって言ったはずだ。イルカ先生も「わかった」って言ったよな?俺の記憶違いか?頬と額は誤魔化しがきくけど、口にされるとこ見られたらどう周りに説明したらいいんだ!つか、わざと人のいるとこでやってないか?アスマに見られたときはさすがの俺も気が遠くなったぞ‥‥。
お互い忙しいから会えるのはほんの一瞬だ。廊下ですれ違うとかその程度。
イルカ先生はシカマル!元気か!頑張れよ!みたいなことを頭撫でながら言って、じゃあまたな!ってキスして去っていく。文句を言う間がない。
だからってこのままではマズイ‥‥。
アスマには必死で口止めしておいた。さすがにあいつは「いたずら」で誤魔化されてくれなかった。
「お前がイルカとねえ‥‥」
ってアスマはショックを受けた顔で新しい煙草に火をつけようとしてた。
「‥‥アスマ先生、煙草逆さだぜ」
「あ」
動揺しすぎ‥‥俺もだけど。地味にアスマはオヤジと仲いいんだ。親に知られるのは何としても避けたい。
「ま、カカシやゲンマじゃねえだけマシか」
そう言って笑った。何となく意味がわかってしまって怖い。
「誰にも言わないでくれませんか、アスマ先生」
「棒読みだな‥‥そうだなあ、『お願い☆』ってかわいく言ったら黙っててやる」
アンタが言ってもかわいくないからやめてくれ。
「お願いシマス」
「かわいくねえ」
「‥‥アンタ、この間いのんちで花買っていったんだって?」
「な‥‥!それをどこで!」
いのからに決まってんだろ。あいつが黙ってるわけねえじゃん。
「紅先生に花束かあ」
「おいコラ、お前がそればらしたら俺もばらすぞ」
「だからお互い黙ってましょーよ」
「むう‥‥」
そうやって俺たちは協定を結んだ。
アスマはこれでいいとしても‥‥問題は他の中忍や特別上忍の面々だ。
さほど親しくもない、名前も知らないような奴らにも見られてる。
このまま変な噂になったらどうするんだ。里は狭いのに。
イルカ先生、自分の知名度の高さに気付いてないだろ。癒しの受付嬢だの、極上スマイル教師だの、うちの婿に是非だの、割烹着が似合う人No.1だの、色々言われてるんだぞ。
そんな人に惚れた俺が悪いのか‥‥でもあんなに人目を気にしねえ人だとは思わなかったんだ。幻滅したわけじゃない、全くそういうことしてくれないよりはずっといい。けど‥‥だからって。
はあ、と俺は何度目かの溜息をついた。
イルカ先生に1週間ぶりくらいで会った。
里の入り口で。俺は里に戻ってくるところで、イルカ先生は出ていくところだった。お互い他の仲間を3人ずつ連れていた。
‥‥この場でコトに及ばれるのは困る。凄く困る。
だって俺が連れてた仲間は10班、アスマとチョウジといのだったから。
アスマはともかくチョウジといのは俺たちのことを知らない‥‥はず。こいつらに秘密にしてるってのは凄く後ろめたい。
別に恥ずかしいことだとは思ってないし、信頼もしてるけど、何となく言い出せなかった。
だってわざわざ「俺、イルカ先生と付き合ってるんだ」なんて言えねえだろ。
「シカマル!‥‥と、チョウジといの。と、アスマ先生」
律儀に全員の名前を呼んで、イルカ先生はこっちに駆け寄ってきた。ほんと犬みたいだ。
アスマがわざとらしく顔を背けたのがわかったけど気にしてる余裕はない。
いつも通りの挨拶を交わして、イルカ先生は俺の頭を撫でた。でもチョウジといのの頭も撫でた。‥‥何か嫌だ、と思ってしまって、俺はその思いを急いで振り払った。
何ガキみたいなこと考えてんだ‥‥俺のバカ。
イルカ先生はそんな俺に気付いたのかどうなのか、もう1度俺の頭を撫でてくれた。
「おい、イルカ、そろそろ行くぞ」
「ああ。‥‥じゃあ、またな」
そう言ってイルカ先生は笑顔で向こうへ行ってしまった。
何もされなかった‥‥そうか、だよな、さすがにチョウジやいののいる前ではできないよな。そのくらいの分別はあったんだ。良かった。
別に物足りないなんて思ってない。思ってないのに。
何か少し胸がざわざわする。
しばしぼーっとしてた俺の背中を、いのが「何してんの、行くわよ!」と叩いたので、俺はようやく正気に戻って、その場を離れた。
その次の日の夜。
オヤジと母ちゃんは任務で家にいなかった。
俺は適当に飯を済ませて、ベッドでごろごろしていた。まだ少し胸がもやもやする。
そこへ玄関からピンポーンと音がした。
おいおい、こんな時間に誰だよ。オヤジが途中で帰ってきたとかか?それなら鳴らさないか‥‥。
のらくらと玄関まで降りて、「はいはい、どなたですか」と俺は気のない返事をした。
ドアを開けたら、イルカ先生がそこにいた。
「こんばんは。家庭訪問に来ました」
そう言ってにっこり笑った。
俺はその場に固まって何も言えなくなってしまった。
何で。何でここにいんの。さっきまでずっとアンタのこと考えてたのに。何でいきなり目の前にいんの。
「‥‥シカマル?」
名前を呼ばれて、やっと俺はハッとなって、でも
「な、何で‥‥?」
としか言葉が出なかった。
「さっき任務から帰ってきて、近く通ったから来てみた」
イルカ先生はまた俺の頭を撫でた。俺はすぐにイルカ先生に抱きつきたくなったけど、必死で衝動を抑えつけて、
「上がりますか」
と言った。
「あー‥‥でもこんな時間だし、ご両親の迷惑になるといけないから」
イルカ先生は鼻の傷を掻きながら断ろうとした。
イヤ、こんな状態の俺を放っていくつもりですか。
「‥‥今日、誰もいないっす」
「へ」
「オヤジも母ちゃんも任務で出てるから」
だからどうぞ、と脇へ避けた。‥‥身体が火照る。
落ち着け。落ち着け俺。
こんなおいしい状況‥‥絶対何か落とし穴があるぞ。
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