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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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結局あれから一睡も出来なかった。
シカマルの身体を拭いたり着替えさせたり服を洗ったりしていたし、このひとり用テントでふたり寝るには身体を密着させなければならないからというのもある。
シカマルが目を覚ましたとき、自分はここにいない方がいいと思った。夜中にあったことを思い出すのはひとりでさせるべきだと判断したのだ。隣で眠ってるなど。俺なら絶対嫌だ。
まだ起きないと思うが、am5時過ぎ、今のうちに色々済ませたいことがある。
シカマルの寝顔をしばらく見つめていたが、俺は静かにテントを抜け出した。
 
 
「シズネ、入っていいか」
「ライドウか?どうぞ」
医療忍者たちのテントへ来ると、俺はシズネを訪ねた。
「もしかしてライドウまで変な薬をかがされたんじゃないだろうな」
顔を合わせてすぐに、シズネがそんなことを言うので、俺は眉間にしわを寄せながら答えた。
「俺じゃない‥‥けど他にも誰かいたのか、そんなのが」
「ゲンマの班とアオバの班が怪しいな。夜の間にここへ来たのはその班の連中ばかりだ」
よりによってゲンマとアオバって。
もしかして、昨夜俺のテントに来たのがシカマルだったのは、凄く幸運だったんだろうか。
俺は疲れがどっとあふれ出すのを感じながら、何とか平静を装った。
「薬の種類の見当はついてるんだろう。一応解毒剤をもらえないか」
「ああ。‥‥でも、別の方法で『処理』したみたいだけど?」
「言うな‥‥」
俺の目が据わったのを見て、シズネは苦笑しながら手早く解毒剤を選び取った。
「その薬ってのはどういう‥‥例えば、感情を左右したりする作用はあるのか?」
「感情?いや、そんな複雑なものじゃない。ただ性欲を増幅させるだけ」
「‥‥そうか」
「はい、これ。そいつは15歳以上か?」
「‥‥?」
15歳以上なら2錠、それより下なら1錠でいいんだけど」
「ああ‥‥そういうことか。2錠もらえるか。‥‥ありがとう」
シズネが先にそう伝えてくれたことに感謝した。
今ここに集まってる忍びの中で14歳以下はシカマルだけだ。きっとシズネも、どっちにしろ俺が2錠と言うことは予想していたのだろう。
「ついでにこれもひとつもらってっていいか?」
「どうぞ。‥‥そいつがライドウのところに行ったのは正解だな」
「俺は嬉しくないぞ」
「ふふ。私が男ならライドウに惚れてたね」
「‥‥嬉しくない」
俺が男ならシズネに惚れてたかな、とはさすがに言えず、シズネにもらった解毒剤と飴をひとつポケットに入れて、テントを出た。
 
「よう、ライドウ。昨夜はお楽しみでしたね」
どこかの宿屋のような台詞を吐きながら、前方からゲンマが現れた。
「‥‥何のことだ」
俺が顔をしかめると、ゲンマはにやにや笑いながら、わざと周りに誰もいないのを大げさな身振りで確かめて小声で言った。
「俺のテントってお前のとこと近いから、声聞こえてたぞ。お前ってタチだったんだな‥‥言ってくれれば俺はリバでも」
「いい加減にしないとお前の名前を逆から呼ぶぞ」
「‥‥それはライドウが恥ずかしいんじゃねえの」
「どのくらい聞こえてた」
「ん?」
「声」
「あー、あえぎ声ってわかる程度かな。会話は聞き取れなかった」
俺のテントに1番近いのはゲンマ、それよりちょっと遠く反対側にイワシとシカマルだ。他は少し離れているから、そこまで聞こえていないだろう。
ゲンマもなんだかんだでお子様連中には優しい、多分。余計なことは言わないはずだ。俺以外には。
俺は溜息をつきながらもゲンマに向き直った。
「まあ、ゲンマもたまには役に立つよな」
「あ?」
「お前とアオバのこと考えると凄く萎えるんだ」
このふたりをそんな使い方してるのは俺くらいだろうが、とりあえず俺はそう言ってゲンマに微笑み、その場を後にした。
 
イワシとシカマルのふたり用テントに入ると、イワシはまだ眠っていた。
当然だ、まだ5時半にもなっていない。
ゲンマは媚薬関係は耐性がある、というか万年発情期みたいなものだからいいとして、イワシもゲンマの班だったはずだが。
イワシがそういう薬をかがされたとしても‥‥こいつはイビキにしか欲情しない特殊な性癖の持ち主だし、真面目な奴だし、きっとシズネに解毒剤をもらいに行ったのだろう。
寝顔を少し覗き込むと、涙の跡が見えた。一晩苦しんだのか。
まあどうしようもできないだろうし、例えイビキがこの場にいたとしても、むしろもっと苦しむことになったに違いない。イビキのところに言って、シカマルが俺に言ったのと同じようなことをイワシが言えるかというとまず間違いなく言えない。こいつも不憫な奴だ。
しかしヒゲをなくすと本当に‥‥少なくとも20代には見えない‥‥。
そんなことを思いながらシカマルの荷物を手に取り、早々に退散することにした。
またイワシのよくわからない寝言を聞かされるのは勘弁だ。「半分はトマトにしてください」とか何とか‥‥。
 
 
自分のテントに入ろうとしたとき、中の気配がもぞもぞ動いてるのに気付いた。
もう起きたのか。俺はまだ入らない方がいいだろうか、と迷っていると、シカマルが中から出てきた。
「あ、」
「まだ寝てた方がいいんじゃないのか。起床時間まで3時間くらいあるぞ」
なるべく普通に接しなければと思いながら、シカマルをテントの中に追いやった。シカマルは俺の目を見ようとせず、ただただ顔を赤くしてうつむいている。
「もう大丈夫だと思うけど一応解毒剤飲んでおいた方がいい。今後の免疫にもなるし」
そう言って錠剤を1錠差し出すと、シカマルは素直にそれを受け取って、俺が枕元に置いてった水と口に含んだ。
「お前の荷物持ってきたから。俺の服じゃでかいだろう」
今シカマルが着てるのは俺のだ。下着はさすがに無しだが。
元々着てたシカマルの服は上も下も大変なことになっていたので、洗って干してある。ここを出るまでに渇かないだろうけどそのままにしておくわけにはいかなかった。
「あ‥‥の」
「ん?」
「すいませんでした、その、色々‥‥」
掠れた声でシカマルが言う。
「こういうことは忍びやってりゃ嫌でも体験するから、あんまり気にするな。‥‥俺も過去には何度かあったし‥‥早く忘れるのが1番だぞ」
それだけ言って俺は立ち上がり、ポケットからシズネにもらった飴を取り出してシカマルに渡した。
「ん。‥‥着替えてもう少し寝てろ。俺はその辺にいる」
シカマルの顔を見ないようにしてテントを出た。俺が渡したのがのど飴だと気付いたら、また気まずそうな顔を真っ赤にするだろうと思ったから。
 
 
俺は自分に正直に生きるタイプだ。
が、ときどきほんの少しだけ、嘘をつくことがある。嘘というか‥‥誤魔化す。
それくらい誰しもすることなのではないかと思うのだが。
例えば、あえてゲンマやアオバのことを考えることによって、高ぶる身体を抑えようとしたり。
胸キュンって本当は胃キュンなのだからと、胸が痛いと思ったのを胃が痛いと表現したり。
くらっとしたのを目眩と表現したり。
安堵の溜息なのか落胆の溜息なのかを明確にしなかったり。
しがみついてないとつらかったのは、早く終わらせないと身体がつらかったのは、実は俺の方だったり。
 
あんな短い時間のうちに、俺の方は薬の作用という言い訳もなく。
 
 
シカマルに好きかもと言われたとき、俺は確かに一瞬くらりとして、認めたくはないが、そういうことなんだと思ったのだ。
 
 
 
 
 
(続)


ナルト界のお気遣いの紳士、ライドウさん。
ちなみにゲンマさんはライドウさんが相手したのはイワシさんだと思ってます。
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