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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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まさかガイ先生まで。
確かにあの人の性格なら、性別だの年齢だの役職だの、関係なく好きになったりしそうだ。愛に障害などない!つって。
しかし‥‥いや、別に、俺に本気ってわけじゃないんだよな‥‥うん、そうだよなあ。
もし本当に本気で迫られたら‥‥。
 
「イルカ?」
「はっ」
受付の仕事中なのに考えこんでしまっていた。わ、もうこんな時間か、と時計を見て焦った。
「休憩行ったらどうだ。さっきゲンマさん来てたぞ」
「え、あ、ああ」
じゃあ休憩してくる、と同僚に告げ、いそいそと受付所を出た。
それを待っていたかのように曲がり角の向こうからゲンマさんが現れた。
「やっと休憩する気になったか。随分熱心に仕事してたな」
「え‥‥いや、はは」
笑って誤魔化して、いつものように中庭まで並んで歩いた。
「あの‥‥ガイ先生のこと、ご存知ですか」
「そりゃ知ってるけど。‥‥なんだ、カカシから聞いたのか」
ゲンマさんは口にくわえていた千本を仕舞うと、ニヤ、と笑った。
「もてるなあ、イルカ先生は」
「う‥‥でもガイ先生は‥‥本気で俺のこと好きってわけじゃないんですよね」
努めて軽い口調で言ったつもりだが、ゲンマさんは少し考えた後、声のトーンを落として言った。
「本気なら良かったか?」
「ちが、そんなんじゃないです!」
慌てて首を横に振った。違うんだ、別に残念とかじゃなくて。
「なら別に本気かどうかなんて関係ないだろ」
少し拗ねたような声――に聞こえたのは、気のせいだったんだろうか。
ゲンマさんってときどきよくわからない。凄く大人びて見えることもあれば、俺より子どもに見えることもある。失礼だが。
「まあいいけどな、ガイが気になるんでも。ただ‥‥アンコだけは、そういう関係になるのはやめた方がいいってだけだ。どうしてもってんなら俺が付き合うぞ、SMは」
「そ、そんなの興味ありません」
「安心しろ。ドMに開発されても俺はイルカのこと」
「だからそんなのになりませんって!」
ムキになる俺に、ゲンマさんはくっくっと楽しそうに笑った。もう‥‥この人は。軽く睨んだが、
「そういや、カカシとはどうなんだ」
と、いきなりカカシさんの話題を出され、反応できなくなってしまった。
カカシさん‥‥2日前だったか、帰り道でガイ先生について話して以来姿を見ていない。
そう言えば明後日から任務のはずだ。明日うちに来るとかいう約束はどうなったんだろう。
「最近はだいぶ仲良くなったみたいだな。別にいいけど」
今度は多分わざと拗ねたような声を出したゲンマさんに対し、俺は平静を装って答えた。
「前よりは嫌いじゃない‥‥かもしれないって程度です。そんな言う程じゃないです」
「ふーん‥‥俺は?」
「え」
「俺のことはどうだ。前と比べて」
面と向かって言われても‥‥照れる。俺はそういう人間だ。ゲンマさんもそんなことわかってるくせに。
黙ってしまった俺に、案の定ゲンマさんはまたニヤと笑って、
「俺は前よりますます好きになったかもなあ、イルカのこと」
そう言うと、中庭で会うときはいつも別れる前にする行為、頬へのキスをした。
「たまにはイルカからして欲しいけど、まだ駄目かな」
「‥‥え」
「俺はいつでも準備できてるから」
しばらく至近距離で見つめられて、急に心臓が痛くなった。それと同時にゲンマさんが顔を離し、立ち上がった。
‥‥この人には、俺の心情とか、もしかして全部ばれてるのかな。
俺には凄く優しいゲンマさんだが、その優しさが逆に怖くなるときがある。
 
 
誰にも言えない。
俺は、本当の気持ちはいつも胸に閉ざしてしまう。
アスマへの気持ちも、カカシさんへの気持ちも、ガイ先生のことだって。
正直に言うと‥‥ガイ先生に本気で迫られたら、俺、落ちる。
外見がどうとか、性格が暑苦しいとか、そういうのは別にどうでもいいんだ。
あの人の言葉って凄く真っ直ぐで、信じたくなるから。
ついて行きたくなってしまう。任せたくなる。
俺が女性で、ガイ先生が俺を愛してくれるんなら、世界一幸せになれる自信があるんだよな。
と言ってもガイ先生も忍び、それも上忍だし、常に身の危険は付きまとうわけだけど。
それでもガイ先生なら、「必ず戻る」って約束してくれたら、戻ってきてくれる気がする。
ああ‥‥ヤバイ。
男相手なんて考えたこともなかったのに。だんだんそっち方向に行ってるぞ、俺。
だって俺のこと好きだなんて言う人に男が多すぎるだろ。何でだよ。
もっとこう、麗しの令嬢とかは‥‥来ないのか。来ないか。
 
 
俺がそんなことを思ったせいかもしれない。
里で最も強く、美しいあの女性が俺の前に姿を現したのは。
 
 
「『うみのイルカ』ってアンタのことだったんだね。猿飛先生のお気に入りで、最近はカカシやゲンマのお気に入りみたいだが‥‥」
「ご、5代目‥‥なな、何ですか」
いきなりのことに俺は面食らった。いやそんなもんじゃない。心臓飛び出すかと思った。
5代目が呼んでるから大至急来るように、とコテツから連絡をもらって、はて、俺なんかしたかな、とドキドキしながら出向いたのだが‥‥こ、この状況は、いったい。
5代目は会うなり俺を壁際に追いつめ、あろうことが俺の頬を撫でながら顔を近づけてきた。
「ちょっ‥‥あの、これは、」
「取って食いやしないよ。ただちょっと興味があってね。付き合ってもらうよ」
「え」
目の前でにっこり笑うと、5代目はゆっくりと離れ、机の上の一升瓶を指さした。
 
「それで?カカシとゲンマとはどこまでやったんだい」
「ど、どこまでって‥‥別に何も」
度数の高いアルコールにくらくらしながら、俺は何とか正気を保とうとしていた。まだ業務中だけど火影命令ならしょうがない。
5代目、実年齢は知っているが‥‥知っていても今の姿は‥‥う、薄着しないで欲しい。身体火照ってるのは酒のせいと誤魔化せるけど。でも。
「噂によるとアンコやガイの奴にも狙われてるとか‥‥」
何で知られてるんだ。え、噂になってんのか。
「ゲンマとはほっぺにちゅーより先には進んでないのか?あいつも30過ぎたくせに意外と奥手なんだね」
「お、俺がお断りしてるんです!」
「カカシの方はどうなんだ?」
「どうって‥‥」
「ときどき一緒に帰ったりしてるそうだが?手もつながないなんて、あいつも‥‥」
「だから、俺がお断りしてるんです!」
まるでゲンマさんやカカシさんさえ勇気を出せば俺が許すような言い方。そ、そんなことは決してないんだぞ。
「あんな綺麗どころに好かれたら悪い気はしないだろう。何で拒むんだ」
「そりゃ‥‥女の人ならそうでしょうけど」
「ほう‥‥じゃあアンコは?」
「え」
「飲みの誘いを断ってる理由は何だ。好みじゃないのか」
それは‥‥こんなとこで言えない。
酒をあおることで誤魔化していると、5代目は、ふん、と面白そうに笑い、
「アンタはノンケで、ノーマルセックスを好むってことか」
と言ったので、俺は酒を吹き出しそうになった。
「な、なな、何‥‥」
顔がいっそう熱くなったのがわかる。むせながら口をぱくぱくさせてる俺に、5代目はまた妖艶ににっこりと笑った。
「やっぱり、アンタのこと気に入ったよ」
「う、‥‥え」
「年上は嫌いか?」
何故か、5代目が俺の隣にきて、身体密着させて、体重預けてきていた。
こ、この角度は‥‥まずい、凄くまずい。このままだと俺。
「少し‥‥寂しくてな。別に抱いて欲しいわけじゃない。まあ、それでもかまわないけどね」
そう言ってくすくすと笑う。
「たまにこうして支えてもらえないか。‥‥ずっと年下のアンタにこんなこと頼むのもおかしいけど、アンタなら何となく安心できる気がするんだよ」
5代目はそれだけ言うと、俺の返事も待たずにさらに重心をこっちに傾け、目を閉じた。
えええ。えええええ。
安心できるって。俺、俺だって25歳の、健全な男性で。いくら最近男に好かれてるからって、男に傾きかけてるような気がしなくもなくたって、女体への欲望は人並みにあるんですけど。
大体、年下も年下だし俺中忍だし、5代目は5代目火影だし、雲の上の人なのに、そんな無防備に身体預けられたら困るんですけど!
‥‥もちろん、気持ちよさそうに寝入ってしまった5代目には、そんな声は届かなかった。そもそも声に出してないし。
諦めた俺は、シズネさんが助けに来てくれるまでの約2時間、足のしびれと男のサガと戦わなければならなかった。
 
 
つ、疲れる。
アンコさんにはかなり頻繁に誘われる。ときどき色仕掛けが混じるのにも何とか耐えて、今のところ断っている。
ガイ先生は、爽やかにも筋トレの誘いやランニングの誘いをしてくれる。でもガイ先生の気持ちが、カカシさんに勝ちたいってものだと知ってしまってる俺は、丁重に断らせてもらっている。
5代目は酔っぱらっていただけなんだろうか。そうだと願いたい。これから何度もあんな状況に置かれては、俺の身が持たない。あと我慢も持たない。
カカシさん‥‥明日は来るのか、それとも俺が行くのか?カカシさんちに。いや、場所知らないから無理だ。やっぱり来るのかな。
昼でもいいと言っていた。ちょうど明日は1日中休みだ。昼ならいいか‥‥いいのか。まさか真昼間からそんな変な行為に及んだりはしないだろう。‥‥いや、カカシさんのことだし‥‥いやいや、前は夜だったけどあれだけで済んだってことは‥‥。
考えてもどうしようもない。しかしあれから音沙汰無いのは気になる。
来るなら来るで準備ってものがあるのに。買い物はしてくるって言ったっけ、でも何でも作れるわけじゃないんだぞ、俺。自炊歴は長いけどレパートリーは決まってるんだから。
ううん‥‥やはりガイ先生にキスされた、ってのがショックだったんだろうか。
恋愛感情を持ってのキスだったわけじゃないんだけどな。カカシさんの反応が面白くて、ついやりすぎてしまった。でもほんとに素敵だったし。ガイ先生のキス。
 
気付いたらやはりカカシさんのことを考えているような。
一緒にいる時間はゲンマさんの方が多いのに。付き合いの長さならアスマの方が断然長いし。
しかし‥‥素直に好き、と言えないのは何でだろう。
だって別にそういう好きじゃあ‥‥ううん‥‥でも口にキスするのを許してしまったってことは、そういうこと、なんだろうか‥‥?
いや、俺は、状況によっては他の人にも許しそうな気がする。
ええ‥‥俺って意外と軽い、のか?25歳ならキスのひとつやふたつ、気軽にしてもいいんじゃないのか。でもそれって俺らしくないんじゃないのか‥‥。
ああもう、よくわかんなくなってきた。
カカシさんについて考えると最後はいつもこうなる。
くそ。別に好きじゃない。恋愛とかじゃない。きっと違う。
‥‥恋愛、してみようって思ったくせに、こんなに否定してしまうのは何でなんだ。
 
 
次の日は1日中家にいた。
別に誰かを待っていたわけじゃない。
誰も、来なかった。
久しぶりにひとりでゆっくりできたのに、胸がズキズキしたのは。
いい加減気付けってことなの、だろうか?
 
 
 
 
 
 
 
ガイ先生は、やるならやるでイルカさんをちゃんと大事にする気なんですけどね。
自分のことを魅力的だと思ってくれる相手に対しては非常に誠実に応える人だと思うんだ、ガイ。
厄介な相手そのに:綱手さん。
厄介なこのふたりには、本気出されると落とされてしまう自信があるイルカさん。
 
これ今の自分ができる精一杯のカカイルです。悔しさに耐えてすっごい頑張ったと思う。
あと2話くらいで‥‥なんとか‥‥。
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