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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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イルカ先生と一緒にいるところをアンコに見つかったのはまずかったが、潔癖なイルカ先生のことだ、アンコの性癖を知ったら容易に落ちたりはしないだろうと楽観的に考えていた。
それより当面のライバルはゲンマだ、あいつ、昼休憩はいつもイルカ先生のところにいると聞いた。イルカ先生は俺との食事の誘いを受け入れてくれるようになったけど、ゲンマにまで優しくしなくていいのに。
そんなことをぐちぐち思い、でも来週の任務の前にはイルカ先生とおうちデート!と軽く浮き足立っていると、
「お、噂をすれば」
「あら」
悩みの種、アンコとゲンマにばったり会ってしまった。
「カカシ、これからよろしくね。ちょうど生活に刺激が欲しかったのよねー」
アンコはそう言って危険な笑みを浮かべた。
「あのなあ‥‥イルカ先生に変なことしたらただじゃ」
「変なことって何よ。アンタみたいに突然家に押しかけて、教え子の手紙で釣って抱きしめたりしないわよ、私は」
「な!何で知って‥‥いやいや、手紙で釣ったとかじゃないし!人聞きの悪いこと言わないでくれる!」
ゲンマがすんごいこっち睨んでるのは無視して、俺はアンコに慌ててまくし立てた。
「それは置いといて‥‥誰と恋愛しようと私の勝手よね。別に遊びでやってるわけじゃないし」
そう、遊びじゃないから余計に質が悪い。
一夜を共にしたくらいでは済まないのだから。「横取り」というスリルのある恋に飽きる頃に相手が落ち、その後しばらくは普通(?)の恋人同士、安定した関係を楽しむ。それが飽きる頃にまた次の獲物を狩る‥‥それがアンコのスタイルだ。
最近はあのヒゲの中忍に手出してたんじゃないのか。どうなったんだそっち。
「イルカならすぐ落ちると思って取っておいたけど‥‥そんな面白いことになってるとはね。カカシとゲンマがライバルなら張り合いもあるし。楽しみー」
「おい‥‥」
「ライバルだと!その勝負、俺も参加しよう!」
文句を言いかけたそのとき、突然隣に暑苦しい風が舞った。‥‥凄く、凄く嫌な予感がする。
「ガイ‥‥アンタはいっつもいきなり出てくるなあ」
ゲンマが呆れたように言うと、ガイは笑ってポーズを決め、
「どんな勝負も逃さないのが俺だからな!俺もまぜてもらうぞ」
「ちょっ‥‥お前、俺らが何の話してたのか知ってるわけ?」
俺は慌てて言った。ガイとイルカ先生の絡みシーンなんて想像もしたくない‥‥!!
「知らん!だが受けて立とう。それが青春だ!」
「私たち、誰がイルカを落とすかで競ってるんだけど?」
誤魔化せばいいのに、アンコは言ってしまった。
「落とす?落とし穴を作れと言うのか?気が進まんが勝負と言うことなら」
「そうじゃなくて、イルカと恋人になったやつが勝ちってことだ」
直球でなければわからないガイに、ゲンマがわざわざ説明する。だから、誤魔化せよ!
「ほう、イルカと恋人か。難しそうだがしかし!男が1度勝負を受けた以上、やめるわけにはいかんな!」
「え、やるの?」
俺が唖然として聞くと、ガイは「もちろんだ!」と爽やかに笑った。
「い、いや、いやいやいや、ないでしょ、ありえないでしょ、これはゲームじゃないんだよ」
まさかガイにイルカ先生を取られることはないと思うが、以前イルカ先生がガイを尊敬しているというようなことを言っていたのを思い出し、俺は焦った。
「ああ、ゲームなどとは思っていないぞ。俺はいつでも本気だ!」
なお悪い。
「面白いわ。ライバルは多いほど燃えるものよ」
「うむ。わかっているな!アンコ!」
ふたりはやけに乗り気だ。ゲンマ‥‥ゲンマは、とっくに諦めたのか明後日の方を見て「我関せず」の表情になっている。このやろう。
でも確かに、こいつらに何言っても無駄だ。それはもう経験からわかっている。
だから俺はせめて深く深く溜息をついた。
「どうしたカカシ。そんな様子ではこの勝負、もらったようなものだな!」
ガイは高らかに言ったが、すぐに眉をひそめ
「しかし‥‥もう少し明確なルールがあった方がいいな」
などと続けた。だからこれはゲームじゃ‥‥と俺が反論する間もなく、
「じゃあイルカの唇を奪った人が勝ちにする?」
とアンコが言ったので、
「それだったらお前が一方的に襲って終わるから駄目!」
俺の反論の内容が変わってしまった。それにそのルール、既に俺の勝ちだし‥‥と続けようか迷っていると、
「イルカからキスされた人が勝ち、ならどうだ」
黙っていたゲンマが口をひらいた。
「なるほど‥‥楽しめそうね」
アンコが再びニヤリと危なく笑った。ガイも満足そうに頷いている。えええ‥‥。
「では今からスタートだな!善は急げだ、俺は失礼しよう」
ガイはそれだけ言うと上機嫌でさっさと立ち去っていった。続いてアンコも、
「ガイに先を越されるのだけは避けたいわね‥‥私も行くわ」
瞳をぎらつかせながら風のように消えた。
俺は死んだ魚のような目でふたりを見送った後、ゲンマに向き直った。
「大変なことになったな」
「お前なあ‥‥」
どうでもいいことのように軽い口調で言われ、一気に脱力してしまう。
「まあガイせんせーにはあの程度のルールで終わってもらって‥‥問題はその先だよな」
ゲンマは立ち去り際にこっちをちょっとだけ振り返り、
「この4人の中なら明らかに俺が1番いいと思うけど、イルカの好みってわかんねえから。お互い頑張りましょう、はたけ上忍」
イヤミなことをさらっと爽やかに、最後だけ丁寧さをつけ加えて言った。
 
 
「え、ガイ先生が?」
その夜の帰り道。最近は受付に出向いてイルカ先生と話し、そのまま一緒に帰ることも多くなったが、やはりこの他に誰もいない空間が俺は好きだった。
「ゲームか何かと勘違いしてるんで、本気にしないでくださいね。ま、ガイ相手にはないと思いますけど」
イルカ先生にとりあえず注意しておこうと、俺は事の経緯を簡単に説明した。ないと思うけど‥‥俺よりガイを選ぶなんてないと思うけど、一応。
ところがイルカ先生は、少しむっとした表情になり、
「ガイ先生相手にはないってどういうことですか」
と言った。え。
「い、いや、ガイに迫られてもそういう気持ちにはならないでしょう?アンコやゲンマならともかく」
「‥‥俺はかっこいいと思いますよ、ガイ先生」
え。え。
「下忍指導も一生懸命だし、ご自分でも努力を惜しまないし‥‥それに凄く紳士だし、男らしいし‥‥」
えええ。な、何で顔を赤らめてるんだ、イルカ先生。俺にはそんな顔、2、3回しかしたことないのに!
「確かに努力家だとは思いますけど‥‥で、でも、ガイとキスとか‥‥できますか?」
「されたことありますけど?」
‥‥。
‥‥‥‥‥‥。
は!?
「な、が、ガイに、きっ‥‥キス、ですか‥‥!?」
「すっごい素敵だったなあ、あれは‥‥」
何でうっとりしてるんだ!ええ、冗談じゃなく、ほんとにか!?ガイとキス!?イルカ先生が!!
「あ、じゃあここで失礼しますね。お疲れさまでした」
「ちょ、待ってください!ど、どういうことですか!ガイとキスしたって‥‥なんですかそれ!俺がファーストキスなんじゃないんですか!?」
「バカなこと言わんでください、俺だってそれなりに経験はあります!」
イルカ先生は頬を染めたままで声を荒げた。
「いやそりゃイルカ先生だって25歳ですけど‥‥俺の前に誰かいても不思議じゃないですけど‥‥」
「カカシさんの前って、今はカカシさんと付き合ってるみたいに言わないでください」
「でも、ガイとそんな、そんな関係なんて!お、俺は認めない!」
「カカシさんに認められなくてもいいです。ていうか、別にそういう関係じゃないです」
「じゃあどういう関係なんですか!」
「わざわざ話す必要もないでしょう」
あ、イルカ先生が完全にツンモードに‥‥えええ‥‥凄く気になる。ガイと何があったんだ。ガイ、俺のイルカ先生に何をしたんだ!内容によってはぶん殴るだけじゃ済まないぞ!
「じゃ、イルカ先生は俺よりガイの方が‥‥?」
や、待て、待て待て。聞きたくない。ガイの方が好き、と言われたら俺立ち直れない。
「それは」
「やっぱりいいです、答えなくていいです!でも俺、過去に何があっても、今のイルカ先生が好きですから。俺はイルカ先生が好きだから!」
混乱しながらもどうにかそれだけ伝え、俺は足早にその場を離れた。
おやすみも言わず自分から立ち去ったのはそれが初めてだった。
 
 
それから数日は落ち込んでいた。
目が死んでるぞ、とアスマに言われても、憎まれ口を返す気力もなかった。
アスマならイルカ先生の過去について何か知ってるだろうか、とふと思ったけど、やはり第3者の口から聞くのは気が引ける。
イルカ先生‥‥ガイと付き合ってたわけじゃないよな。大体男相手は無理なんじゃなかったのか。うう。俺にあんな冷たいのに、ガイのことは素敵だなんて。やっぱりもっとちゃんとしたキスしとくべきだったかなあ‥‥でも、あの雰囲気じゃあれが精一杯だったし‥‥。
明後日から長期任務に入る。明日の昼、イルカ先生のところに行ってもいいんだろうか。考えとく、って言われたまま、確定はしてもらえてない。このままで普通に話せるか不安でもある‥‥いやいや、ガイとのことを聞くチャンスだ。もう1度明日のことについてお願いしに行こう。
よし、と俺は勇気を奮い立たせ、イルカ先生の元へ向かった。今なら受付業務の休憩時間のはず。
‥‥ん、休憩、ってことは‥‥。
ヒト気のあまりない中庭に、イルカ先生はいた。‥‥悪い予想が当たって、ゲンマも一緒だ。
うわあ、何かいい雰囲気だし。何でイルカ先生、あんな笑顔なんだろう。俺にはそこまで笑いかけてくれたりしないのに‥‥く、くやしい。ゲンマに負けるのはくやしい。
しばらく乱入の機会をうかがっていた俺は、数分後、とんでもない瞬間を見てしまった。
 
ゲンマが、イルカ先生の頬に。
 
 
イルカ先生、もしかして、キスくらいは軽く許してしまう人なんだろうか。
それならそれでいい‥‥俺だって、過去に散々色々やってきた。イルカ先生を責めることなんかできない。
でも、今の俺は。
俺は、唇を近づけたとき、イルカ先生が目を閉じてくれたのが凄く嬉しくて。ああ、イルカ先生も俺のこと少しずつ受け入れてくれるようになってるんだ、って。俺の前で目をつぶって、無防備になってもかまわないと思ってくれた。例えそれがほんの一瞬でも。
ただ触れただけの、キスとも言い難いキス。それでも俺は凄く嬉しかったんだ。感動に震えた。今まで生きてきた中で1番と言ってもいい。
 
だけどイルカ先生は、そうじゃなかったん、だ。
 
 
お月様のバカ。
俺は再び打ちのめされて、その場を後にした。
ふたりを陰から見ていた俺を、さらに陰から見ていた者の存在なんて、知るよしもなかった。
 
 
 
 
 
 
 
厄介な相手そのいち:ガイ。理由は次でイルカさんが言いますたぶん。
もうひとり出ますたぶん。
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