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危険な任務に出るより、アカデミーで新たな忍びを育てる。
上忍への憧れだって確かにあるけど、自分にはそっちの方が合ってるし、分相応という言葉も知っている。自分の実力ではせいぜい中忍止まりだと。
それで良かった。毎日命をすり減らして生きていくなんて、俺には耐えられない。
嫁さんもらって子ども作って子ども育てて。
普通の生活。何の変哲もない、だけどあたたかな家庭。
俺が望んでいたのは、そういうものだった。
高望みだなんて思っちゃいなかった。
「こんばんは」
闇にまぎれて声がした。いつものことなので大して驚きもせず振り向くと、やはりいたのはカカシさんだった。
俺は「どーも」と会釈して、足早に歩いた。もちろんカカシさんはついてくるのだが、帰り道のほんのわずかな距離だけで、あのT字路まで行けば別れの挨拶をすることは知っていた。早く歩けばその分一緒にいる時間は短くて済むのだ。
俺は「どーも」と会釈して、足早に歩いた。もちろんカカシさんはついてくるのだが、帰り道のほんのわずかな距離だけで、あのT字路まで行けば別れの挨拶をすることは知っていた。早く歩けばその分一緒にいる時間は短くて済むのだ。
俺はこの人が苦手だ。
嫌いと言ってもいい。
客観的に見れば、里を代表する忍び「写輪眼のカカシ」なわけだし、超上忍級の能力も人当たりの良さも仲間を大事にする信念も、尊敬できる人ではある。普段は額当てと口布で顔の大部分を隠しているからあやしいけど、ルックスだって悪くはない。妖艶な瞳には幾度と無く見とれたものだ。今はなるべく目を合わせないようにしているのだが。
じゃあ何が気にくわないのか、なんて、俺の友人ならわざわざ聞いてくることはない。
カカシさんが受付だろうがアカデミーの職員室だろうがところかまわず「愛の告白」をし、ちょっとでも拒絶の姿勢を崩せば実力行使に出ることもあるということは、少なくともうみのイルカとはたけカカシの名を知ってる人ならみんな知ってることだった。
カカシさんが受付だろうがアカデミーの職員室だろうがところかまわず「愛の告白」をし、ちょっとでも拒絶の姿勢を崩せば実力行使に出ることもあるということは、少なくともうみのイルカとはたけカカシの名を知ってる人ならみんな知ってることだった。
ほとんど話したこともない、顔だけ知ってる上忍から「お前も大変だなあ」と同情の声をかけられることも、くのいちの集団から半ば私刑に近い嫌がらせを受けることも、今ではそう珍しいことではない。
誰よりも、平穏な生活を願っていたのは俺なのに。
この人は自分の立場がわかってるんだろうか。
その知名度も人気も、俺の相手としては高すぎんの。
俺だって相手を選り好みしたくはない。元々もてる方ではないし、出会いのチャンスも少ない。
いや、受付にいれば毎日毎日多くの忍びと顔を合わせるし、元教え子つながりで上忍師と話すことだってある。カカシさんとだって、ナルトの担当上忍ってことで知り合ったんだし。
いや、受付にいれば毎日毎日多くの忍びと顔を合わせるし、元教え子つながりで上忍師と話すことだってある。カカシさんとだって、ナルトの担当上忍ってことで知り合ったんだし。
でも俺が求めてる人は忍びじゃない、一般人なんだ。
里で探すのは非常に難しいとはわかっていながらも。
親が両方とも忍び、いつ命を落とすかも知れない、なんて状況は嫌だった。
まだ子どもを持たないうちから、いや結婚できる年齢になる前から、それはずっと思っていたことだ。
少なくとも片親は忍びでないこと。
そして子どもはふたり以上作ること。
もし自分に兄弟がいれば、あんなに孤独を感じることはなかっただろう。
アスマのことは兄のように思っているが、それでもだ。
つまり子どもを生めない上、忍びであることを止められないカカシさんは、残念ながら恋の対象には不適当なのだ。
と、俺はカカシさん本人に言ったはずだった。
初めて好きだと告げられた後に、はっきりと。
カカシさんはそれを聞いて、頷いたではないか。
なのにどうして次の日から、あんな猛烈なアタックを繰り返しているんだ?
俺にはさっぱり理解できない‥‥俺はこの人が苦手だ。
「それじゃ、おやすみなさい」
ほとんど何も喋らずに並んで歩き、分かれ道に来た俺はそう言って営業スマイルをした。
カカシさんは何か言いたそうにしながら、でも結局後ろ頭を掻くだけで何も言わず、おやすみなさいとだけ呟いた。いつものことだ。
人前では強引なのに、ふたりきりだと随分しおらしくなる。ちょっとかわいいと思わなくもなかったが、この頃ではこれも作戦なんじゃないかなんて疑ってしまう。
分かれ道を家に向かって歩く。
俺の姿が見えなくなるまでずっと、カカシさんは別れた道の上で立ちつくしている。
振り向かなくてもわかる。気配がじっと動かないことは。
最初は不思議に思って振り返ったりもした。そうするとカカシさんは微笑んで(帰り道は人がいないせいか、口布は外していることが多い)俺に手を振って、でもやっぱりその場に突っ立ったままでいる。向こうから俺が見えなくなると、やっとゆっくりと気配が動く。
恋愛に奥手な俺はどうしても、これも作戦なんじゃないか、なんて。
言い訳としては、その日は苛々していた。
ナルトが修行の旅に出る前に、最後に会いに来てくれたのが俺だったのは凄く嬉しかった。
嬉しかったけど。
自分の子どもが自立していくのを見るのはこんな気分なんだろうか。
まだ25歳なのにそんなことを思った。あんな大きい子いる年じゃねえ。ねえけど。
「心にぽっかり穴が開いた」って表現がここまでしっくりくるのは初めてだった。
他の元教え子たちは里にいるし、会いにも来てくれる。
ナルトひとりとしばらく会えなくなっただけなのに。
寂しい。
久しぶりにちょっと泣いた。
そんな夜が明けて、朝から受付に座っていた。
「イルカ先生、デートしましょう」
数日姿を見せなかったカカシさんは任務に出ていたようだ。
Aランクの任務報告書なら火影様のところへ直行すれば良いのに、わざわざ俺の前まで来て言う。受付が空いてる時間帯を狙ってくるのも気にくわない。
「嫌です」
目も合わせずに答えた。
好奇の視線にさらされる。こっちを見て聞こえよがしにひそひそ話をし始めるくのいちたち。もー、言うだけなら好きにしてくれ。でも行く先々でトラップ仕掛けるのはやめてくれ。
「任務先で良さそうな温泉見つけたんですよ。一緒に行きましょう」
カカシさんはそう言って俺の顔を覗き込んだ。温泉という言葉がちょっと気にかかったが、俺は顔を背けて「行きません」と言った。
「つれないなあ‥‥ま、そういうとこも好きなんですけど」
まるで猫か何かかわいいものを見る目と声で言い(信じられん)、腕を伸ばして俺の頭を撫でた。いつもならそれくらいはさせておくかやめてくださいと言葉で言うのだが、今日は、ほら、ちょっと苛々していたから。
バチン、と予想以上に音が鳴った。
俺は、思わずカカシさんの手を叩き払ってしまっていた。
ああ。やっちまった。と少し血の気が引いた。
しかも同時に「うるせーな」とか何とか言った気がする。払いのけたときの音で聞こえてなければいい、と甘いことを思った。
カカシさんは驚いた顔をしている。そりゃあそうだ。俺だって驚いている。
抱きしめられたり手を握られたり唇を寄せられたり、今までにもっと過激なスキンシップはされていたけど、こんな風に抵抗したことはなかった。せいぜい身体を押し返す程度。基本的には言葉で反論する。それでも敬語は忘れたことはないし、わざと丁寧な言い回しで皮肉るのが俺だ。
周りの空気が凍りついている。誰の話し声もしない。いや、もしかしたら俺が聞こえてないだけかも。
頭は冷静なようで実は物凄く焦っている。どうしよう。上忍の手ひっぱたいちゃったよ。しかもあの「写輪眼のカカシ」だよ?俺、好かれてるみたいだけどさすがに怒ってんじゃねえの。これで俺にちょっかいかけるのやめてくれるならいいけど、逆ギレされて最悪強姦とか‥‥ま、まさかな!
頭は冷静なようで実は物凄く焦っている。どうしよう。上忍の手ひっぱたいちゃったよ。しかもあの「写輪眼のカカシ」だよ?俺、好かれてるみたいだけどさすがに怒ってんじゃねえの。これで俺にちょっかいかけるのやめてくれるならいいけど、逆ギレされて最悪強姦とか‥‥ま、まさかな!
時間にしたらほんの一瞬、俺はそんなことを考えていた。
目を見開いて、拒否された手を上げたまま固まっていたカカシさんだが、すぐに手をポケットに突っ込んで、申し訳なさそうな顔をした。そして
「ごめん、なさい」
と小声で謝った。
うお、俺上忍を謝らせちゃったよ。
でも全然嬉しくないよ。
カカシさんは少しの間俺の目を見つめたが、すぐに踵を返して受付所から出て行った。
徐々に周りの声が聞こえ始める。隣の同僚がこっちを見ている気がするが、とりあえず無視しておこう。
「よう、イルカ。ついに反撃したんだってな」
顔を上げると、アスマが嬉しそうに笑っていた。
10班の任務報告書はいつもシカマルかトリオが揃って持ってくるのに、今日は珍しい。どうせからかいに来たのだろう。情報が早いのも気になるけどあえて聞かず、黙って報告書に目を通した。
10班の任務報告書はいつもシカマルかトリオが揃って持ってくるのに、今日は珍しい。どうせからかいに来たのだろう。情報が早いのも気になるけどあえて聞かず、黙って報告書に目を通した。
「言っただろう、迷惑してるんならはっきり言ってやれって」
「言いましたよ!言ってもわかんねえから‥‥つい」
暴力という程ではなかったはずだ。しかしカカシさんの傷ついた表情を思い出したら、痛かったのかなあとか、「うるせーな」はねえよなあとか後悔の念が少し。
「つい、何したんだ?詳しいことは知らなくてよ。カカシを引っぱたいてぶち切れたって聞いたが」
ぶ、ぶち切れた?
「ちょっと手を払いのけただけですよ。切れてなんかいません」
「いや、アレはちょっとじゃなかったよな」
隣の同僚が口を挟んだので、俺は睨み付けてやったが効果はなかった。同僚はその向こうの同僚と一緒になってアスマに報告し始めた。
「はたけ上忍がイルカの頭撫でたんですよ、デートしようとかかわいいとか言って」
「そしたらイルカが切れてその手叩き落として」
「上忍相手にうるせえって言いました、こいつ」
おい、余計なことは言わなくていんだよ。叩き落としたって程じゃなかっただろ?うるせえ、は‥‥聞こえてたのか‥‥隣の隣の同僚に聞こえてたのならカカシさんにも確実に聞こえてたな。
「はは、そりゃいい。もっと強気でいけ。殴っとくぐらいしておかねえとそのうち食われるぞ」
アスマは豪快に笑って縁起でもないことを言い、頑張れよと手を振って去っていった。
その日の受付所は何故か俺のところだけ行列ができ、ことあるごとに「やるじゃねえか」的なお言葉を頂戴した。
俺がカカシさんにしたことについては、来る人来る人みな誤った認識をしていて、最初はいちいち詳細を説明していた同僚達も、だんだんどうでもよくなってきて仕事に集中するようになった。
最終的には俺はカカシさんに殴る蹴るなどの暴行を加えたことになっていたが、俺自身も訂正するのはめんどくさかったので放っておいた。これであの上忍の評判が落ちればいいと思った。俺ばっかり被害に遭うのは不公平というものだ。
「こんばんは」
しばらくは俺に会いに来るのをやめるだろうかと思った俺だが、やはり考えが甘かったようだ。
暗くなった帰り道で聞き慣れた声がして、仕方なく俺は振り向いた。
「どーも」
素っ気なく会釈して先を急ぐ。
「あの、イルカ先生」
普段はほとんど無言で終わる帰り道。何故なら距離が短すぎて大した話はできないからだ。話をする目的で一緒に帰るなら、もっと前からついてくれば良さそうなものだが、カカシさんは決まって分かれ道の手前100mちょっとのところで声をかけてくる。
「何ですか」
俺はめんどくさそうに返事をした。カカシさんの声はどこか不安げだった。理由はさすがの俺も想像できる。
「今日はすみませんでした。‥‥怒ってますか」
怒ってるか、だと?
カカシさんより前を歩いているから俺の顔は見られない。それをいいことに俺は思いっきり顔をしかめて言った。
「今日のことと言うより、今までアナタにされたことに対して怒ってます」
カカシさんはそれきり、黙った。
すぐにT字路に着き、俺はちゃんとカカシさんの方を向いてまた営業スマイルをした。でも、目は合わせない。
「じゃあ、おやすみなさい」
カカシさんの「おやすみ」を聞く前に歩き始めた。
が
「待って下さい」
カカシさんのせっぱ詰まった声が意外なほど近くから聞こえ、腕を掴まれて引き戻された。驚いて振りかえると、すぐ側にカカシさんの顔があって、つい「うおっ」だか小さく叫んで顔を引いてしまった。
「イルカ先生、俺のこと嫌いですか」
「嫌いです!離して下さい」
あっさり言うとカカシさんは「ガーン」という効果音が聞こえてきそうな顔をしたが、腕を掴んだ手はゆるめずにいる。
「お、俺のどこが嫌いなんですか。どうしたら好きになってくれますか」
「こういう強引なことをするとこが嫌いです。どうしても好きにはなりません。離して下さい」
こんな質問はシミュレーション済みだ。用意した答えをすらすらと言えたのは、俺自身も予想外であったが。
「‥‥俺がどれだけアナタのことが好きか、わかってます?」
切なそうに眉毛を下げてカカシさんはそんなことを言ったが
「わかりません、別にわかりたくもないです」
と俺は冷たく言い放った。
「俺はわかってもらわないと困る」
言うとカカシさんは掴んでいた俺の手を自分の胸に押しつけた。
「な、何ですか」
もちろん男の胸を触って喜ぶ趣味はないので、俺は戸惑って身を引こうとした。それがいけなかったようで、カカシさんはもう片方の腕を俺の腰に回し、抱き寄せた。俺はやはりつい「ヒィ」かなんか叫んだ。
「わかりますか、心臓の音」
俺が抗議の声を上げる前にカカシさんが口をひらいた。暴れても無駄だろうなと思ったので俺は諦めてカカシさんの鼓動を手の平で感じ取った。どくどくどくどく、と聞こえる。
「早いでしょ?アナタといるときはいつもこうだ」
「はあ‥‥わかりましたから、離して下さい」
甘く囁かれても俺はもうほんとそういうの勘弁なので、ムードをぶち壊して3度目の言葉を繰り返した。カカシさんは焦れったそうに言った。
「もう!だから俺はこんなにイルカ先生のことが好きなんですよ!全然わかってくれてないでしょう!」
「だから‥‥俺は嫁さんと子どもが欲しいって言ったじゃないですか。わかってくれないのはカカシさんの方でしょうが」
俺は呆れたように溜息をついたが
「だって俺、その嫁さんと子どもよりイルカ先生を幸せにする自信あるから」
平然と言われ、ますます呆れて言葉が出なかった。俺が脱力したのをいいことにカカシさんは手に手を絡めて握り、さらに抱き寄せて言った。
「大好きなんです、イルカ先生。結婚しましょう」
「男同士は結婚できませんし、できたとしてもアナタとはしません。離して下さい」
4回目。何回言えば離してくれるんだろうか。身体を押し返そうと試みるが、細い身体のどこにそんな力があるのか、カカシさんはびくともしないし、ますます力を込めて抱きしめられるだけだったので、俺は抵抗するのをやめた。
そんな俺をどう思ったのか、カカシさんは少し力を緩め、絡めていた手を口元へ持っていき、解いた。
解いたと思ったら俺の手の平にキスをした。
は?
その仕種にも驚いたのだが(何で手の平?)、何より口布越しのキスだったのにきちんと「吸われた」感触がしたことだ。何だこの人、肺活量すげえ、などと思ったのもつかの間、俺は慌てて空いてる方の手でカカシさんの顔を押しやった。しかし効果はなかった。
「何すんですか!馬鹿じゃないですか!」
ストレートな俺の言い方に、カカシさんは素直に口を離し情けない顔で俺を上目遣いに見て、
「口にじゃなかっただけマシでしょ?うっかりしちゃわないように、今日は口布してきたんですから」
などと言う。
じゃあ何だ。いつもふたりのとき口晒してるのは狙ってんのか。俺の唇を狙ってたと言うのか。
じゃあ何だ。いつもふたりのとき口晒してるのは狙ってんのか。俺の唇を狙ってたと言うのか。
「いい加減にしやがれ!」
切れた、わけじゃない。うん、全然違う。ただちょっと頭に血が上ったのは確かで、俺は普段より少し、すこーし語気を強めて言った。叫んだ‥‥って程ではない、と思う。
カカシさんは今日受付で見せたよりもっと驚いた顔をして、俺の身体を慌てて離したから、それなりに効いたようだ。
「俺は無理矢理とか強引にとか、そういうのは嫌いです。‥‥人としての神経を疑う‥‥!」
ため込んでいた本音があふれ出しそうになるのを懸命にこらえた。そのせいか急に泣き出しそうになった。何だ。何でだ。
「俺、アナタのことは好きじゃない。もう俺にかまうのはやめて下さい。‥‥アナタといても、俺は幸せになんかなれない」
それだけ言って俺は駆けだした。逃げるように。
最初からそうするべきだったのだ。俺は何もかも甘すぎた。
俺の姿はすぐに見えなくなったはずだが、カカシさんの気配はずっとそこに残っていた。いつまでその場に立ちつくしていたのかなんて、俺の知ったことではない。
花より何とかっぽい展開を目指しています。
ノンケ男が男に言い寄られたときの反応ってこんなじゃないかと。
次はカカシさん視点の予定。
イルカさんは25歳設定でいきます。
ノンケ男が男に言い寄られたときの反応ってこんなじゃないかと。
次はカカシさん視点の予定。
イルカさんは25歳設定でいきます。
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