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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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ぬるいですが性描写有りですのでお気を付け下さいね。

 
 
 
 
う、そ、だろ‥‥。
 
ふらつく足を懸命に進めながら、家路を急いだ。
頭の中がぐるぐる回ってる。混乱してる。さっきから同じ言葉ばかりが巡る。
もうすぐ家に着くのに、どんどん身体が重くなる。このまま倒れ込んで、眠ってしまいたい。そうだ、眠りたい。
あと100m。
周りに人はいない。元々寂しい道だし、今は真夜中だ。誰かが歩いていたら逆に驚いてしまう。
でも――そう言えば、あいつはよくこの道を通っていた‥‥任務でこのくらい遅くなったときにも会ったことがある。そうだ。ここであいつの姿を見かけるようになったのはいつからだった?
思いついて、俺は愕然とした。
あと30m。
下忍になったばかりの頃、この場所でアスマは煙草を吸っていた。
そんな前から?
嘘だろ。
偶然に決まっている。そうだ。ただの偶然だ。
だって、あれは出会って3日目ぐらいのことだった。
でも――
「俺がどれだけ早くからお前に惹かれていたかなんて、お前は知らねえだろうけど」
確かに、アスマはそう言った。
嘘だろう‥‥。
気付けば立ち止まっていた。あと10m、すぐそこに自分の家が見えている。
なのにもう動けない。アスマの言葉と、感触が思い出されてしまう。‥‥何も考えられなくなる。
嘘だ、嘘だ、嘘だ。
それだけしか。
その場にしゃがみ込んだ。目の前がぐらぐら。何も見えなくなる前に、自分から目を閉じた。
 
 
 
 
アスマの家で、アスマはいきなり俺を抱きしめて、キスをして、耳元で何かを呟いて、キスをした。
全てを食い尽くされそうなキス。
普通の、唇を合わせるだけだってしたことがなかった俺はもちろん面食らった。何をされてるのかわからなかった。アスマの舌が俺の唇を、歯を、舌をなぞるのを、抵抗も出来ず、受け入れることも出来ずにいた。
されていることの異常さと、ずっと上を向かされていたこともあって、飲み込めなかった唾液が口の端からあふれた。それでようやく我に返って、アスマの身体を押し返そうとした。もちろん体格も力も俺とアスマじゃ違いすぎる。
それでも一瞬唇が離れた。じゅる、と音が聞こえた。俺はほっとしたのに、アスマはあふれた唾液を舐め取るために離れただけだった。息を整える暇もなかった。
どのくらいの間、塞がれていたのか。5分だったのか30分だったのか。どっちの方が正解に近いのかもわからない。酸欠もあって、途中から意識が曖昧になっていた。
 
「あ‥‥!?」
唇が解放されているのに気付いたのは、声が出たからだ。うわずった、正気の時は絶対出さないような声。アスマが俺のズボンの中に手を入れていた。大きな手が内ももを撫でて、熱くて濡れたものが首筋に吸い付いたのを感じて、びくんと身体が震えた。
アスマの手が下着越しに触れた。信じられないことに、俺は勃起していた。あんなおかしなことをされたのに、どうしてここが反応してるんだろう、と不思議に思った。ゆるゆると擦られようやくハッとした。
「ア、スマ‥‥アスマ!」
返事がないから、もしかしたら俺に変なことをしているのはアスマじゃないのかも知れない、とか何とか思った。アスマの頭は俺の顔の下辺りにうずめてあって、唇が俺の首に痛いくらい吸い付いていた。
「な、に‥‥っ」
何をしている。何をする。何で。
知りたいことは沢山あった。でもどれから聞けばいいのか、聞いたら教えてもらえるのかはわからなかった。そうこうしているうちにも下肢にはずっと刺激を与えられていたので、なかなか呼吸が整わないし、頭が働かない。苦しい。
「や、め、‥‥っあ!?」
する、と脚の方の隙間から、アスマの手が下着の中に入ってきた。直に触れる――自分の手以外のものが。初めてのことなのに、アスマは俺の敏感なところを熟知しているかのように、適切な箇所を太い指と大きな掌を使って扱いた。
「いっ‥‥やめ、やめろ!‥‥いやだ‥‥っ」
意思とは裏腹に反応する身体を懸命に堪えて、手足をばたつかせた。アスマの脚を蹴ってみても肩を押し返してみても、行為をやめさせることはできなかった。それどころかアスマはいっそう手の動きを早めて、首筋を音を立てて吸いながら、言った。
「暴れるな‥‥酷くしたくねえから‥‥」
酷くしたくない、だって?
既に相当酷いことをされているのに、これ以上何を、どうされるって言うんだ。
恐怖と快感に板挟みにされてどうしていいのかわからない。叫びだしたい。もう、やめてほしい。
 
よく覚えていないが、気が触れたようにずっと「いやだ」「やめて」を繰り返していたと思う。
アスマの髪や服を引っ張って、途中からは涙を流し、ほとんど絶叫のように哀願していた。恥なんかとっくに感じなくなっていた。
アスマはそんな俺の手を押さえながらキスをして、その唇で胸や腹、脚、その奥にまで口づけた。
俺が達しても行為が終わることはなかった。手の次は口で、舌で。アスマが口に含みながら俺の名を呼んだり、髭が根本に擦れたりするたび、身体の奥の奥にある何かが壊れそうになった。
ずっとあやふやだった俺の意識は、何度目かの絶頂を迎えたとき、完全に途切れた。
 
 
 
目を覚ましたのは数時間後だ。解かれた髪が撫でられているのを感じた。
身体がだるくて動かない。何でだろう、と思いながらゆっくりとまぶたを上げた。
俺はベッドに寝かされていて、隣にアスマが座っていた。俺と目が合うと、アスマは髪を撫でていた指を止めて口をひらいた。
「大丈夫か」
その意味をしばらく考えた。見回すと、アスマの部屋にいるらしいことがわかった。窓の外は真っ暗だ。何で俺はこんなとこで寝ているんだろう。全身に重い倦怠感がのしかかっている。俺は何をしていたんだっけ。
「あ――」
思い、出した。
とっさに俺は起き上がろうとした。それをアスマは手で制して、
「急に起きない方がいい」
と言った。
でも俺は頭の中身がぐらぐら揺れる不快感に耐えながら、アスマの手を振り払った。
「‥‥ふ、ざけんな‥‥っ」
「シカマル、」
身体がだるいとか重いとか言ってられない。かまわずに起きて、逃げるようにベッドを降りた。ふらつく足で駆け出しそうになった俺の腕を、アスマは掴んで引き寄せた。
「離せ!!」
「落ち着け。頼むから聞いてくれ‥‥悪かった」
悪かった、で済まされるはずがない。あんな――あんなことをしておいて。
されたことがどんどん思い出されて、頭に血が上った。‥‥早くこの場を離れたい。
「謝っても許してもらえねえだろうし、言い訳なんか聞きたくもないだろうが‥‥」
いつもの、楽天家で自信に溢れたアスマの声とは大違いだ。少し震えた、絞り出すような声だった。
それでも俺はここにいたくなかった。腕を離して欲しい。聞きたくない。聞いたところで、何がどう変わるって言うんだ?
 
「俺はお前が好きだ。ずっと好きだった。ふたりでいたら、頭がおかしくなるほど」
 
「‥‥嘘」
反射的にそう返していた。見たくなかったのにアスマの顔を見た。こんな表情のアスマは知らない――任務でどんな敵に囲まれたときだって、こんな泣きそうな顔はしなかった。
「嘘じゃない。俺がどれだけ早くからお前に惹かれていたかなんて、お前は知らねえだろうけど‥‥ずっと好きだった‥‥」
嘘だ、嘘だ、と俺は頭の中でそれだけを繰り返した。だって、ありえない。
「アンタ‥‥何歳だよ。俺が何歳だと思ってんだよ。それに‥‥それより、男同士じゃねえか」
掠れた声で言うと、アスマは目を逸らしてうつむいた。掴んでいた手が緩んだのを感じて、俺は腕を引いた。腕はあっけなく解放された。なのに俺はその場に立ちすくんだままでいた。
アスマは再び俺の目を遠慮がちに、でもまっすぐ見て言った。
「‥‥それでも俺はお前が好きだ。止められなくて、悪かった‥‥」
 
涙が出そうになった。
理由なんかわからない。
もう、全部、何が何だか。
わからない。わからない。
理解しようとするのもめんどくせえ。
 
ベッドに腰かけていたアスマが立ち上がった。
190cmの身体はそれだけで部屋の空間を圧迫して、俺に再び恐怖を与えるのに十分だった。
まだしっかりとしてない足で、俺は玄関まで走った。
「そんな身体で、ひとりで帰れねえだろ」
アスマはゆっくり近づいてきた。外に出たってすぐに追いつかれる。俺は思わず覚えたばかりの印を結んでいた。
「‥‥影首縛りの術か‥‥」
アスマの足が止まった。じわじわじわ、と首の下まで影が伸びた。
首を絞めて気絶させるまで、チャクラが保つだろうか?それ以前に、こんなチャクラの量でアスマを縛っておけるだろうか。すぐに破られるに違いない。
息が切れる。それでも術を解かずにいた。
アスマは溜息をついた。
「わかったから、もうやめとけ。これ以上チャクラ使ったら家に着くまでにぶっ倒れるぞ。俺はここ動かねえから」
そう言ってアスマは目をつぶって、全身の力を抜いた。――首を圧迫されていると言うのに。微量ながら俺が殺気を出していることに気付いてないはずがない。何を考えてる。
少しの間、迷った。
でもすぐに術を解いて、俺はアスマの部屋を出た。
アスマの気配は動かなかった。それだけ確かめて、俺は走り出した。そんな体力は早々になくなるとわかっていても、一刻も早く逃げ出したかった。
 
刺すような冷気、真っ暗な空気。震えながら家を目指した。
アスマが追いかけてくるような気がして、何度も振り返った。
台詞を思い出しては、嘘だと打ち消した。
 
信じない。信じられるはずがない。
 
 
頼むから、嘘だと言って。
 
 
 
 
 
(続)
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