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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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早く帰りたい。
早く帰らなきゃ。
早く帰ろう。
 
予想以上に手間取ってしまって、5日で終わる予定の任務にまるまる9日間もかかってしまった。1週間以上もイルカ先生に会えないなんて、冗談じゃない。幸い隠し撮りした写真を持っているので、イチャパラに挟んでこっそり眺めていたが、やはり本物でなければ。
あの手に、触れたい。
 
 
もう空が黒に染まって久しい時間帯だ。
俺はやっとイルカ先生の家の前まで来た。
こんな時間に迷惑だろうとか、家を教えて貰ってないのに知ってるのはどうなんだとか、色々まずいことはあるのだが、ただ単に俺が会いたいという理由以外にイルカ先生に用があったんだ。
電気がついてる。ひとり分の気配。このあったかい感じはイルカ先生に間違いない。
家のドアをノックするとすぐにイルカ先生の声がした。あ、何か緊張する。
ドアが開いて、イルカ先生が顔を出した。額当ては外しているが髪は束ねたままだ。少し残念。
「カカシさん‥‥」
イルカ先生は心底驚いた顔をしている。まあ、そりゃそうだ。
でも俺にはいちいち説明してる余裕なんかないから。
「夜遅くにごめんなさい、イルカ先生。会いたかったです」
俺が口布を外して微笑むと、イルカ先生は少しだけ身を引いた。ああ、警戒されてる‥‥。
「あ、いや、ちゃんと用事があるんですよ、すぐお暇しますから」
慌ててポーチを探って、1通の手紙を取り出した。
「これ、ナルトから」
ナルトという言葉を聞いて、途端にイルカ先生の目が輝いた。
「な、ナルト?手紙ですか?俺に?」
「そうです」
イルカ先生は手紙を受け取ると、もどかしそうに、でも丁寧に封を切って中を読んだ。その間俺はじっとイルカ先生を見ていた。
すぐに帰るつもりだったんだけど。真剣な表情のイルカ先生や、どんな内容なのか笑みをもらすイルカ先生を見ていたかった。ナルトがもっともっと長い手紙を書いてくれれば良かったのに。
「あいつの字なんて久しぶりに見ました」
読み終わって、でもまた読み返しながらイルカ先生は言った。
「相変わらず汚え字だなあ」
なんて言って笑う。ああ、久しぶりに見た、その笑顔。屈託なく笑う。笑‥‥あ?
「修行、楽しいって‥‥良かった」
笑っているのに、イルカ先生の目には涙が浮かんでいた。あ、わ。
「な、泣かないで、イルカ先生」
「泣いてません!」
俺は泣かれるとどうしていいのかわからなくなる。
この手紙を持っていったらイルカ先生はきっと大喜びで、満面の笑顔を見せてくれるに違いないと思っていた。うれし涙‥‥ってやつなのか?それにしてはイルカ先生は、途端にぼろぼろと泣き出してしまった。
「い、イルカせんせ」
「ごめ‥‥なさ、」
イルカ先生は伏せた顔を手で覆って、懸命に泣き声を耐えていた。その様子に不謹慎にも俺の身体、特に下の方が反応したのだが、もちろんとてもそんな雰囲気じゃない。
それでも俺はイルカ先生を抱きしめていた。寂しいとき、つらいとき、昔誰かにされたように、背中をゆっくり撫でて、頭を撫でた。
イルカ先生は抵抗するどころか、俺の肩にしがみついてきたので、おわ、と俺は声を上げそうになったけど何とか堪えた。
うわ。イルカ先生風呂上がりだ。髪濡れてる。身体あったかい。いいにおい。これは、ちょっと、ヤバイ‥‥。
俺は撫でるのをやめて、イルカ先生のきれいに筋肉の付いた腰を両腕でぎゅっと抱きしめた。
 
「イルカ先生、俺がいるよ。俺が側にいるから。寂しくないよ」
 
耳元でそっと呟く。が
「寂しくなんかないです!」
いつの間にか泣きやんでいたイルカ先生がキッと顔を上げ、凛々しく言った。
3年経ったら戻ってくるんだから‥‥もう一生会えないわけじゃないですから!そりゃちょっと、ちょっとだけ心配ですけど、あいつももう立派な忍びです、俺が心配するようなことはないんです」
イルカ先生は一方的にまくし立てた。自分に言いきかせるように。
俺は、うん、と微笑んで頷いた。イルカ先生が目を擦って息を整えるのを見ていた。もっとずっと見ていたいし、抱きしめていたい。キスしたい。キスしたい。
でもしちゃいけないのはわかってる。タイムリミット。
名残惜しいけど俺は腕を離して1歩下がった。
「元気になったみたいだから、行きますね。報告書出してこなきゃならないんで」
「あ‥‥はい。あの、カカシさん?」
「はい?」
「ナルトに会ったんですか?」
俺はかぶりを振って答えた。
「いいえ。直接は会ってないんです。でもあいつが手紙書いたの、イルカ先生にだけみたい。愛されてますねえ」
それを聞いてイルカ先生はとろけそうな笑顔になった。ヒィ、これ以上ここにいたらヤバイ。襲ってしまう。
俺はもうイルカ先生の顔を見ずに立ち去ろうと思って、それじゃあ、と言って背を向けた。
 
「カカシさん」
 
イルカ先生が俺の腕を引いた。あたたかい手の平の感触。
え、え?
とっさに出たその行動にイルカ先生自身も驚いたようで、慌てて手を離した。見るつもりはなかったのに、俺はイルカ先生の顔を見た。頬が赤い。多分俺の頬も同じ色になってる。
「あの‥‥ありがとうございました。‥‥って言い忘れてました‥‥」
礼を言うときは相手の目を見て、をきちんと実行するイルカ先生に、ますます心の奥が熱くなる。
「あと、さっきのは誰にも言わないでいてくれると嬉しいです」
イルカ先生は恥ずかしそうに言った。さっきのって、泣いたことかな。
「じゃあ俺とイルカ先生だけの秘密にしましょう」
言われなくたって、あんなイルカ先生は俺だけのものだ。他の奴に教えてたまるか。
俺が楽しそうなのを見て、イルカ先生はちょっと眉間にしわを寄せて俺を睨んだ。そんな仕種も愛しい。
愛しいこの人の身体をさっきまでこの腕で抱き留めていたんだなあ、と思うとどうしようもなく身体が火照ってきてしまったので、俺は仕方なくイルカ先生に別れを告げて、逃げるように家を離れた。
 
 
その夜の余韻も空しく、1週間以上も里を離れていた俺に最悪のニュースが飛び込んできたのは、翌朝のことだ。
 
「‥‥ゲンマ‥‥?」
「ええ、アンタがいない間にね」
言って紅は立ち去ろうとしたが、俺は慌てて引き止めた。
「ちょっと!詳しく教えろ!」
「そんなのイルカ先生に直接聞いたらいいじゃない‥‥私だって細かいとこは知らないわよ、噂でしか」
しかし噂話は好きな方なようで、紅はべらべらとコトの顛末を聞かせてくれた。
俺がいないのをいいことにゲンマがイルカ先生に告白したと。しかも受付所で。みんなの見てる前で。
何だ、それ明らかに俺に対する挑戦だろ。
それが一昨日のこと。その晩早速一緒に飲みに行ったとか。
昨日も昼休みにふたりきりで話してるのを見た、クールなゲンマが物凄い笑顔だった。仕事が終わると同時にゲンマが受付まで迎えに来て、一緒に帰った。その後どうなったのかはわからない。とか。
 
あのヤロウ‥‥!
俺がいない隙を狙ってイルカ先生を手込めにしようなんて許せん!
成敗してくれる‥‥!!
 
 
受付に行ってみたがイルカ先生はいなかった。この時間は勤務中のはずだが、シフトが変わることは良くある。よくイルカ先生と一緒にいて顔を知っている中忍に声をかけた。
「今日イルカ先生は?」
「あ‥‥あの」
言いにくそうにし、周りに目線を泳がせる。しかし誰も助けに入ろうとする者はいない。俺は若干の殺気を漂わせて、言った。
「イルカ先生がどこにいるか聞いてるんだけど」
「は、う、しかし、」
強情な奴‥‥何故言わない。この様子だと知っていて隠しているようだ。俺に拷問されたいのか?
「あれ、カカシじゃない」
さらにきつく問いつめようとしたときに後ろから声がした。
「アンコか」
「何してんの、男相手に迫っちゃって。そういうのが趣味なの?」
そう言って俺が詰め寄っていた中忍を見る。どんな誤解だよ。
「イルカ先生探してんの。知らない?」
「イルカならさっきゲンマと歩ってたよー」
あっさりと白状したアンコに、受付所の空気が突如重くなる。言っちゃだめえええって吹き出しが見えそうなほどだ。
「どこ?」
「テラスの方」
「ありがと」
そんな空気に気付かないアンコは串団子を頬張りながら陽気に手を振った。空気読めない奴ってこういうとき便利、と思いながら俺はテラスへ急いだ。
 
 
テラスにふたりはいた。
周りには知った顔もいて、ふたりきりでなかったことに安堵を覚える。が、
「イルカ先生!」
俺には物凄く冷たい態度とるくせに、何でゲンマにはそんな笑顔なんだよ!
勢いよく歩いていく俺に、腰を下ろして談笑していたイルカ先生は目を丸くした。
「カカシさん‥‥どうしたんですか」
「どうも、お久しぶりです、はたけ上忍」
ゲンマが他人行儀な挨拶をしてくるがそれには応じず
「俺のイルカ先生に手出すのやめてくれない」
と喧嘩腰に俺は言った。もちろんすぐにイルカ先生が
「俺はアンタのじゃありません」
と訂正した。
「‥‥だそうです。俺がイルカに惚れても文句を言われる筋合いはないっすよね」
「お前本気でイルカ先生のこと好きなわけ?」
「好きですよ。アンタこそ本気なんですか?」
小馬鹿にしたような言い方だ。こいつむかつく‥‥。
「当たり前だろうが。絶対俺の方がイルカ先生のこと好きだ」
ムキになって言うと、ゲンマははあ、と溜息をついた。
「その割には全然イルカのこと見てねえじゃねえか。アンタのせいでイルカがどんなに迷惑してるか知ってんのか?」
「げ、ゲンマさん」
イルカ先生がゲンマの服の裾を引いた。ちょっと!何それ!俺にはそんなことしてくれたことないぞ!
いや、そんなことより、今の台詞は聞き捨てならない。
「迷惑?」
「アンタの親衛隊がイルカを」
「ゲンマさん!」
イルカ先生が声を強めた。俺に向けるときのように、イルカ先生はゲンマを睨みつけていた。ゲンマはそれを見て、もう1度溜息をついた。
「‥‥とにかくアンタにイルカは任せられねえ。アンタといたらロクなことにならねえよ」
頭に来た俺は殺気を抑えもせずに言った。
「何、イルカ先生を賭けて勝負でもする?」
「ハッ、とことんガキの発想だな。イルカの意思も聞かずそんなことしてどうするんだ?まあイルカが望むならしてもいいけど」
「イエ、やめて下さい。‥‥カカシさん、殺気止めてくれませんか?」
イルカ先生が青い顔をしているのに気づき、俺は慌てて気を収めた。
「ご、ごめんイルカ先生。大丈夫、俺イルカ先生だけは傷つけないから」
フン、とゲンマが鼻で笑う。いちいち癪に障る野郎だ。
「イルカ先生は俺とゲンマのどっちを取るんですか‥‥」
つい、俺は口にしてしまったのだが、ちょっと考えたらわかることだ。俺は面と向かって「嫌い」と言われた身だ。でも昨日、イルカ先生は俺にしがみついてくれたし、その前も手にキスしたとき顔真っ赤にしてた。もしかしたら徐々に好きになられてたり‥‥とか‥‥。
「いや、どっちも取りませんよ」
しかしイルカ先生はさらりとかわした。ま、そうだよね。
「何だよゲンマも振られてんじゃねえか」
俺は揶揄したが、ゲンマはどこ吹く風で平然としている。
「別に俺、アンタみたいにがっついてませんし」
「ああ?素直に若くねえって言ったらどうだ」
「アンタもそこまで若いわけじゃねえだろ‥‥」
「俺の方がイルカ先生と年近いもん。年代違うと話合わないよねえ」
「じゃあ俺の方が階級が近いな。上忍サマは何考えてんのかわかんねえよ」
「上忍だからいざって時はイルカ先生を守ってあげられる!」
「じゃあ俺はいざって時が来ないように日頃から気を付けておこうかな」
 
「おい、その辺にしとけ」
 
低い声が響いて、俺とゲンマは我に返った。
呆れた顔で俺たちを見下ろしていたのはアスマだ。こいつはいつもいきなり出てきやがる。
「こんな大勢に聞かれてるようなとこでよう‥‥お前らはほんとイルカのこと何もわかっちゃいねえな」
言われてイルカ先生を見ると、イルカ先生は眉間にしわを寄せて唇をかんでそっぽを向いていた。
「イルカ、そろそろ受付に戻った方がいい。混んできてたぞ」
イルカ先生は何も言わず、俺とゲンマの方を見向きもせずにアスマについて歩いていってしまった。
「あーもう、アンタがペース乱すから」
とか何とかゲンマがぐちぐち言ってるのは無視しておく。
 
俺またイルカ先生を怒らせたのか‥‥謝ったら許してくれるだろうか。
うん、とりあえず謝りに行く。それが最重要。
アスマと一緒にイルカ先生が受付に戻って5分も経たないうちに俺は受付所に姿を現していた。でも
「あれ?イルカ先生は?」
そこにいるはずのイルカ先生はいなかった。俺が気の抜けた声を出したので職員はほっとしたのか、イルカ先生の居場所を教えてくれた。
「イルカなら、さっき早退しました」
「早退?」
「はい‥‥気分が悪いそうで、猿飛上忍が連れていきました」
 
あんの熊‥‥イルカ先生狙いなのか!?
 
見境の無くなった俺は礼も言わずに受付所を飛び出していた。目指す先はイルカ先生の家だ。
 
 
 
 
 
 
ゲンマさんは30代で合ってますか?
カカシさんが20代後半と思えないほど子どもっぽいのは仕様です。
濡れた髪を結うのは駄目なんじゃないのか、イルカさん。
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