忍者ブログ
NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
[124]  [125]  [126]  [127]  [128]  [129]  [130]  [132]  [133]  [134]  [135
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 

しつこいようだが、あー、緊張する。
今イルカ先生は風呂に入ってる。背中流してくれよ、って言われたけど、今の状態で裸になんかなれるわけねえだろう。精神的にも肉体的にも完全にアウトだ。もー、リードして欲しいだの自信ねえだの全部忘れて襲いかかってしまいかねない。
落ち着くための深呼吸を、もう何回目だ、二桁は確実にしてる、とか思いながら繰り返した。
でもやっぱりいてもたってもいられず、イルカ先生のベッドに横になって、枕に顔をうずめたり布団を抱きしめたりしていた。時折風呂場の方から音がしては慌てて飛び起きる。
 
俺ってこんなキャラじゃなかったと思うんだけどなあ‥‥イルカ先生の前だと、どうも調子が狂う。普段の俺でいられなくなる。
それがいいのか悪いのかはわからねえ。自己嫌悪も沢山するけど、こういう自分はそんなに嫌いじゃない。何つうか、落ち着いてるときの俺より人間らしい気がする。喜怒哀楽がはっきりしてる奴ってわかりやすくて好きだ。イルカ先生もそうだし‥‥まあ、イルカ先生は知るにつれてよくわからなくなってきてもいるけど‥‥それでも、イルカ先生の表情の変わり方は、見てて楽しい。
 
 
ようやく気持ちが落ち着いてきた頃にイルカ先生が戻ってきた。風呂好きって聞いてたからもっと長く待たされるの覚悟してたけど、40分くらいで済んだ。
上気した身体や濡れた髪、石鹸の香りなんかが‥‥いや、考えるのやめよう。
俺の髪は念入りに拭いたくせに、自分のはわしゃっとしただけだ。おいおい、雫垂れてんじゃねえか。しょうがねえな。
いい湯だったとか何とか言ってるイルカ先生の頭を、俺は黙って拭き始めた。イルカ先生はちょっと驚いたような顔をしたけど、すぐに嬉しそうに微笑んだ。
向かい合ってるとまたキスだのされそうだし、あんまりされたら抑えられねえし、なので俺は後ろからイルカ先生の頭をタオルですっぽり覆って拭いてやった。イルカ先生は体育座りで、俺は立ち膝で。
おい、こら、寄っかかられると重いんだって。俺が力無いの知ってるだろ。成長したと思ってるなら大間違いだぞ。
しばらくは頑張っていたけど、だんだん足が疲れてきたし髪もある程度は拭けたので、手を止めて腰を下ろした。イルカ先生はさらに体重を預けてくる。
こんだけ体格差あるとつらいものがある‥‥何とか支えて、後ろから抱きしめてる体勢にはなってる、けど。ほんとは俺が前の方が。ま、たまにはいいか。
被せてたタオルを取ってイルカ先生の顔を覗き込むと、イルカ先生はトロンとした目で薄く笑った。あ、眠そう。ええ、寝るの?夜はこれから‥‥いや、ううん。
「眠い?」
聞いてやる。しょうがねえから。一時期よりはだいぶマシとはいえ、今のイルカ先生は任務と受付業務とアカデミー教職という3つの仕事をこなしてる。疲れてないわけがない。
「んー‥‥」
イルカ先生はもぞもぞ動いて、身体をちょっと俺の方に向けた。
あー、もー、顔近えし、また目閉じて唇突き出してるし。ちくしょう。ふたりきりだったら容赦しねえぞ、俺。
今度は無視する理由もねえし、でもあんまりしすぎるとホニャララなので、軽く唇を合わせるだけのをして、それで終わらせるはずだったのだが‥‥なんか、こう、イルカ先生の身体やら唇やらがすげえあったかくて、あっつくて、ついもうちょっと深追いしたくなったというか。もう1度キスして、今度のはもっとちゃんとちゅうと吸いついた。
俺は、俺の方はちょっとで済ませるつもりだったんだ。ほんとだ。そりゃ、その後はぎゅっと抱きしめたり頬にキスくらいはしたいと思ってたけど。
唇を離そうとしたら、イルカ先生はさらに身体をぐいと反転させて、向かい合って俺の背に腕を回し、そのままキスを続けた。
ああ、こうやってしっかり抱きしめられてキスされるのっていいな、幸せだなあ、とか思いながら、俺も抱きついて夢中でキスした。
 
あ、やべえかも、とはうすうす思った。
いつもより長いキス、眠いはずのイルカ先生は、眠いからこそなのか、俺に身体の重心を預けたままで。
あの、徐々に俺の身体、後ろに倒れていってるんすけど。
そしてこのまま押し倒された体勢になると、俺の下半身がアレなことになってるのがばれる可能性が非常に高いんすけど。
どうしようとか思う間もなく、身体を起こすために使っていた俺の腹筋が限界に達したので、鈍い音を少しだけ立てて俺は床に倒れ込んだ。肘で支えようにも抱きしめられてるし‥‥これは仕方ねえ。不可抗力だ。別に俺が狙ったわけじゃねえ。こんな作戦‥‥考えは、したけど。実際にやろうなんて思っちゃいなかった。
だってイルカ先生が俺に覆い被さってて、俺の股の間にイルカ先生の腹があるんだぞ。これは‥‥ばれてるだろ、さすがに。当たってる。軽く当たってる。わああ。
でもイルカ先生は微笑んだままの表情を変えず、また俺に口付けてくる。ちゅ、ちゅ、って軽く音がするくらいに吸って。強めに抱きしめたままで。
 
ええ‥‥何、どういうつもりなんだ、イルカ先生。
明らかにイルカ先生が俺の上に被さってる状態で、キスとかして。
俺らは一応恋人同士という間柄で、付き合って数ヶ月経つところで、今はふたりきりで、風呂上がりで、これから長い夜に入るところで、明日は午後からの仕事で。
つまりは、そういうことか?そういう、恋人同士の、アレをする雰囲気なのか、これは。ついにイルカ先生もその気になったのか。
いや、俺は全然かまわねえっつうか、待ってましたっつうか。そりゃ色々思うことはあるけど。もーいいんだ。
でもここ床なんだけど。いや、俺はいいよ、いいけど、イルカ先生は床でいいのかよ。どうせなら、ベッド‥‥とかの方がいいんじゃねえの。電気も出来れば消して欲しいしよ‥‥。
 
って俺が考えてた時間は、現実にしたらものの2秒くらいのもんだった。
人間って短い間にけっこう色んなことを考えられるんだ。ちょっとせっぱ詰まったりするとな。
そんな俺に対して、随分長くキスしてくれてたイルカ先生はようやく唇を離して、俺の左肩の方に顔をうずめて、小さく溜息をついた。息を整えてるらしい。
俺もちょっと荒くなった呼吸を戻そうと、ゆっくり深呼吸した。自身を落ち着かせる意味も込めて。
 
「ごめん」
 
ぽつりと、小さくイルカ先生が呟いた。
「へ」
予想外の言葉に、俺はつい間の抜けた声が出てしまった。慌てて口を閉じる。
顔を上げたイルカ先生は、ハの字の眉で申し訳なさそうに
「眠い」
と笑った。
 
 
 
わかってる。
わかってるよ。
眠いなら寝てくれていいんだ。無理して欲しくねえ。イルカ先生はぶち当たるまで自分の限界に気付かねえんだから。
でもよ‥‥なら、何であんな体勢で、あんな長いキス。
俺の身体があんなんなってたのに気付いてたくせに。あの状態を解放されないつらさ、同じ男ならわかんだろ。
わざとなのかよ。焦らしてんのか、俺のこと。
遊んでる‥‥なんてことは‥‥ねえ、よな?
 
ああもう、何で俺、こんなバカなこと。
自分の醜い欲望を棚に上げて、イルカ先生を責めたり疑ったり。人としてどうなんだよ。
俺は俺のこういうとこが嫌いだ。
大事な人といるのに、惨めな気持ちになるなんて。
そんなのは嫌だ。
 
 
ベッドに入ると、イルカ先生は俺を抱き寄せて額にキス、しようとして大きなあくびをした。俺もつられそうになるのをかみ殺す。暗い視界がじんわりと滲んだ。
「好きだよ」
唐突にイルカ先生がそんなことを言った。顔を上げたら、幸せそうに微笑んでるイルカ先生と目が合った。
「お、れも」
やっとで絞り出した声はすぐに消えてしまったけど、イルカ先生は満足げだった。
「シカマル」
トロトロに甘く名前を呼ばれて、髪をゆっくりと撫でられ、瞼に軽いキスを落とされる。
その手が頬や首筋や肩のラインをなぞって、再び背中に回ると、イルカ先生は俺の鼻の頭にちょんと口付けて、
「おやすみ」
とにっこり笑った。
オヤスミナサイ、とぎこちなく返しながら、イルカ先生の胸に顔をうずめ、俺も瞳を閉じた。
 
 
俺は、自分のちょっとした欲望も上手く抑えきれない、馬鹿なガキなのに。
アンタがそんな優しく、大事なものの存在を確かめるみたいに撫でてくれるから、触ってくれるから、俺はこのままでもいいのかもなんて思っちまう。
自分は自分、ってのが持論とはいえ、向上心がないわけじゃねえんだ。
 
好きだって言ったとき、中忍になったら付き合って欲しいって言ったとき、イルカ先生は心底困ったような顔をしていた。
好きだと言い返されて嬉しかったけど、それが子どもに対する「好き」と同じだとわかってた。
俺が中忍に昇格したって報せは明らかに届いていたはずなのに、イルカ先生は俺の所に来てくれなかった。
自分から行く気はなかった。行けなかった。イルカ先生が戸惑ってるのはわかってたから。変な約束して、子どもと付き合うことになったの、きっと後悔してるんだろうと思った。
中忍昇格後にやっと会えたとき、イルカ先生はやっぱり気まずそうな顔で俺を見た。
俺の気持ちが風化するまで会わずにいようって考えでいたのかもしれない。
‥‥俺だって、あんな恥ずかしい告白、できれば忘れて欲しかった。何事もなかったみたいに、公園で猫と寝てたときみたいに、普通に話がしたかった。俺がイルカ先生のこと好きにならなければ、俺たちってもっといい関係でいられたんじゃねえのかな、なんて。
でも俺はもうどうしようもなくイルカ先生に惹かれてるし、イルカ先生の方も「俺が中忍になったら付き合う」って約束したんだ、守れない約束なんかしなきゃ良かったじゃねえか。‥‥いや、俺が押し切った‥‥んだったっけ?そんな強く言ってねえ‥‥はず‥‥断ろうと思えば断れただろ、多分。言うときは言う人だし。
 
 
考え出すとキリがねえんだよな。
イルカ先生って、俺のことどう思ってんのかなあ、ほんとに好きなのかなあ、とか、そういう馬鹿なこと。
好かれてはいるんだろうけど、どう考えても恋愛感情じゃねえ気がしてる。せいぜい愛情。ちっちゃい子に対する、かわいいなあ、っていうアレだ。そうじゃなきゃ説明つかねえ。
 
いいんだよ、好きだって思ってくれてるなら、その種類なんてのはどうでも。
俺はイルカ先生が好きで、側にいて一緒の空気吸えてれば幸せで、それ以上を望むのは欲張りだってわかってるんだ。
でも隣にいても良いと許されてから、想うだけじゃ止められなくなって、どんどん欲しくなって、独り占めしたくて、俺だけ見てもらいたくて、そんな自分が大嫌いで、そのくせ愛しいとも思えて。
 
 
よくわからなくなってしまう。
俺、ほんとは俺の方が、イルカ先生のことちゃんと好きなのか、怪しいんじゃねえか。
ただ不安や寂しさを押しつけて、救われたいなんて考えてたんじゃねえのか。
 
 
 
もっと強くなるから。大人になるから。
堂々と胸を張ってアンタのことが好きだって言えるように、好きだって言ってもらえるように。
支えてもらうだけじゃなくて、こっちからも支えてやるから。
俺を好きになったことを後悔させないから。
俺と一緒にいるときの自分が1番愛しいと思えるように、頑張るから。
 
幸せそうな顔で、規則正しい寝息を立てて眠るイルカ先生に、そっと口付けて誓った。
そして、だからせめてそれまで隣にいさせてください、とも祈った。
 
 
 
 
 
 
天才と呼ばれてはいても、奴はまだ12歳なんだ。
青からだんだん遠ざかってる感じではあります。
もっとギャグ調で書きたいものです。
次イルカ視点。
PR
この記事にコメントする
color
name
subject
mail
url
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
はじめまして。
 楽しく読ませてもらいました!!
シカマルが可愛い~♪
お預け状態ですね…。
続きがめっちゃ気になります!ぜひ、書いて頂きたいヽ(^▽^)/
これからも頑張ってください♪
ショウ 2008/03/25(Tue)05:09:34 edit
コメントレス>ショウ様
初めまして、コメントありがとうございます!
かわいいと言っていただけると嬉しいです、恐縮です(´∀`)
原作のシカマルとはだいぶかけ離れた感じになっていますが‥‥。
お預け大好きなんです、すいません。
ワンパターンにならないように、少しは先に進めてやりたい気持ちもあります。
続き頑張ります‥‥のでどうぞよろしくお願いしますね。
いちかわ(管理人 2008/03/25(Tue)12:08:21 edit
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
<<< 日記33 HOME 青-4 >>>
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新コメント
[08/18 いちかわ太助]
[08/17 安田かずよし]
[08/05 いちかわ]
[08/05 かずよし]
[03/31 いちかわ]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
いちかわ
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
最古記事
アクセス解析
忍者ブログ [PR]

photo byAnghel. 
◎ Template by hanamaru.