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NARUTOのイルカシカマルイワシライドウあたりメインのブログサイト。
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もー駄目。
全然駄目。ダメダメ。
あいつらにはイルカをやれん。絶対やらん。ちらっとでもそんなことを考えた俺がバカだった。
全くイルカの性格を理解してねえ。ちょっと考えたらわかるだろうが。
真面目が忍びになったようなイルカが、人前で愛を語られて嬉しいわけない。
ゲンマはもう少しまともな奴だと思っていたが期待はずれだったな。
トラップ解除やバカくのいちたちをこらしめてやったのは評価してやるが。俺はせいぜいイルカを罠の少ない方に誘導したり、紅に手回しを頼んだりしかできなかった。まあ、イルカだってガキじゃない。自分の身は自分で守れるとも信じていた。
 
イルカを受付所に連れて帰って、馴染みの職員に一声かけてすぐに早退させた。イルカは仕事を続けようとしていたが、いつもと顔色が微妙に違うのに俺は気付いていた。
「昨日あんまり寝てねえんだろう。いいから行くぞ」
半ば強引に手を引いてアカデミーを出てきた。こいつは無理矢理が嫌いだが、自分にプラスになるなら話は別だ。腕から力が抜けたのを感じて、手を離した。大人しくついてくる。
「アスマ‥‥アスマの家、行きましょう」
「あ?ああ、かまわねえが」
イルカからそんなことを言うのは珍しい。イルカの家に向かっていた足を方向転換して、のんびりと歩いた。
「何だあ、今日は家に帰りたくないの‥‥ってやつか?」
「帰りたくないのは事実です」
一般的な意味とは違うけど、とイルカは付け足した。違ってもらわないとこっちも困る。
「アスマ、カカシさんにうちの場所教えたりは‥‥してないですよね?」
「俺がするかよ。後つけてたんだろ、あいつのことだから」
そう言うとイルカは溜息をついた。
「まあ、あいつはアレで臆病だから、夜這いの心配はねえと思うぞ。緊急事態に備えて知っておこうって程度だろうぜ」
「ならいいですけど」
家に着き、茶でも出そうとしたがそんなものとっくに切れてるのに気付く。あるのは酒、酒、酒、つまみ。
「酒しかねえけど飲むか?」
まだ日が高い。普段のイルカ「先生」なら絶対応じないところだが、
「いただきます」
とイルカは腰を下ろして言った。
 
酒が入るとイルカは早々に酔い始め、愚痴をべらべらと話した。
「あの人は自分の知名度をわかってないんですよ。顔隠してるくせにあんな人気あって‥‥。ふん、言うほど美形じゃねえっつの」
「ゲンマさんもゲンマさんだ、俺が理想って何だよ‥‥俺のどこが理想なんだよ、バカじゃねえか。一目惚れなんて信じられるかよ」
だいぶ口が悪い。地が出ているだけなのだが。
イルカの愚痴を肴に飲むのもまあ悪くないな、と思ってると、イルカはちゃぶ台に突っ伏してしまった。
「おい、大丈夫か。飲み過ぎたか?」
「大丈夫‥‥大丈夫です、ナルトから手紙来たもん。イルカ先生も頑張れって‥‥俺頑張るよナルト‥‥ナルトぉ‥‥」
ナルトシックが出たのか、泣きそうな声で言う。
「ああ、カカシが持ってきたんだってな、昨日。それで寝不足なのか、お前」
図星だったようで、顔を上げたイルカは照れ隠しに俺を睨み付ける。俺は笑って
「カカシも任務の合間ぬって無理に受け取ったみたいだけどな。自分への手紙じゃねえのによくやるぜ」
と言ったが、別にカカシの評価を上げてやろうなどとは微塵も思っていなかった。言ってしまってから後悔した。
「感謝してますよ。俺、ほんとは寂しくてたまんなかった。ナルトがこんなに俺を支えてくれてたなんて知らなかった‥‥」
イルカの言葉に俺は少しショックを受けたが酒で誤魔化した。
俺も最近は任務で忙しくしてたとは言え、週の半分は里にいるってのに。
やれやれ、俺のことを兄と思ってるとしたらナルトは息子か。
「だから俺‥‥ああ、何で俺あんなことしたんだ‥‥バカ‥‥」
イルカはぶつぶつ独り言を言っている。
「あんなことって何したんだよ」
「カカシさんに」
「カカシに?」
「‥‥アスマ!」
「あ?」
いきなり顔を上げたイルカは、もそもそ動いて俺の側に来た。
昔からこいつは酔うと行動がおかしい。いや、酔った人間ってのは大体そういうものだろうが。
「‥‥なんだよ」
イルカは無言のまま真っ向から俺の肩にしがみついてきた。俺の足の間に座って。何だ、この体勢は。どういう意味と受け取りゃいいんだ。
「嫌ですか」
「嫌‥‥ではねえけど」
意味がわからん。甘えてんのか?
「じゃあぎゅってしてください」
イルカは肩にしがみつき、顔を俺の胸にうずめて言った。
「お前は‥‥カカシやゲンマにもこういうことしてんのか?」
だからあいつらがイルカに落ちたのか、と俺は思ったのだ。
俺が聞くと、イルカは慌てて身体を離した。ていうか俺を突き放した。油断してた俺は見事に後ろの壁に頭をぶつけた。
「いてーな、何なんだよ」
「そんな、俺はそんなじゃないっ」
「じゃあ何だ」
身体は離れたが座っている位置は俺の膝の間のまま、イルカはうつむいて話し始めた。
「俺、ナルトの手紙受け取って、読んだらよくわかんないけど感情が高ぶって、泣いちゃって‥‥そこをカカシさんが抱きしめてくれて」
カカシの前で泣いたのか‥‥しかも抱きしめられ‥‥あ?抱きしめて「くれた」って何だ。ありがたく受け入れたってことか、お前は。
「いつもはそういうの嫌なのに、昨日は嫌じゃなくて、カカシさんの肩にしがみついてしまいました。ごめんなさい‥‥」
誰に何を謝っているのかわからないし「いつも」されてるという言葉も気になるのだが。
「それぐらい誰にされたって嫌じゃねえだろ。そんな状況なら」
「誰にされてもって‥‥俺ってアバズレなのかも‥‥」
はあ、と俺は深い溜息をついた。
「あのなあ、別にカカシにキスしたいと思ったわけじゃねえだろう?抱かれたいと思ったか?抱きしめられて嫌じゃなかったからって恋愛感情を持ってるってことにはならねえだろうが」
イルカはたまにこう、思い込んで突き進むことがある。俺がちゃんと修正してやらねば、いつか道を踏み外しそうでハラハラする。
俺が言うと、しかしイルカの上げた顔は赤く染まって涙目だった。俺はぎょっとした。
「お、俺、一瞬だけどキスされてもいいと思った、ような‥‥一瞬だけど!あと抱かれてもいいとも‥‥ほんの少しだけ、一瞬だけ」
あああ‥‥めまいがする。
「いいか、それは気の迷いってやつだ。恋愛とかとは違う。全然違う。ほだされるな。流されるな。気の迷いだ。ノーカウントだ」
「ノーカウント‥‥」
「そうだ」
念を押すとイルカはほっと安堵の溜息をもらした。
「そうか‥‥良かった、俺まだ嫁さんもらえる‥‥」
まったく、酔っぱらいの思考ってのはよくわからない。
 
イルカは安心したのか、その後は愚痴もほどほどに寝入ってしまった。
畳の上に横になり、丸くなって眠るイルカの体勢と寝顔が昔のままなのに気付いて、俺は苦笑しながら毛布をかけてやった。
残った酒をちびちびと飲んで、カカシとゲンマの顔を思い出す。
カカシ‥‥イルカを普段から抱きしめたりしているそうだな。危険度A。強姦するような勇気も非情さも持ち合わせていないが、あいつはイルカの喜ぶことなら何でもする野郎だ。ナルトからの手紙だって、わざわざ任務中のあいつが取りに行く必要はなかった。そのせいで本来の任務にも手こずったバカ。しかしその執念がもしかしたらイルカを振り向かせるかも‥‥やはり危険度はAだ。
ゲンマ。危険度はBだ。あいつはイルカが嫌がることはしない。まあ公開告白はあいつらしくないと言わざるを得ない。きっとカカシの傍若無人さにあてられたのだろう。イルカに知られないところでも奉仕するとは好感度アップだ。カカシが楽しみを与えるタイプならゲンマは悲しみを取り除くタイプか。ただあいつは広く手を付けるから‥‥イルカのことは本気なのかも知れないが、いつ心変わりするか知れない。
アンコ。同じくB。イルカを狙ってるというのではなく、あいつの行動は天然だから何がどう作用するか読めない。今日だってイルカとゲンマの居場所を簡単にしゃべったと言うし‥‥カカシとゲンマがイルカに言い寄ってることを知らないらしい。おそろしい。
アオバ。D。何かする気はないんだろうが、お前がイルカ(人間の方)バージョンのイルカ(動物の方)のぬいぐるみ持ってんのは知ってんだぞ!
ライドウ。C。ゲンマを薦めるのはよせ。第3者からのアピールは効果的なんだよ。
ガイ。A。ダークホースってお前のことを言うんだ。イルカがこの間「ガイ先生のキスは素敵だったなあ」って呟いたのは何なんだ?お前は味方じゃなかったのか?
 
知らず知らずのうちに他の奴らまで評価してしまった。
まーまだイルカを安心して預けられるような奴はいねえな。シズネあたりはいいと思うんだが、あいつはどうもゲンマの方を見ている気がする。
 
‥‥でもカカシやゲンマは、俺よりはイルカを幸せにしてやれんだろうなあ、なんて柄にもなくしんみりした気分になる。
恋人とか生涯のパートナーという意味では、自分はイルカから最も遠いところにいる気がしてならない。
そりゃあな、親子は結婚できねえだろう?
そもそも俺はイルカに恋愛対象を抱いてるわけじゃねえし。愛情、親愛。そんなものだ、俺のイルカに対する気持ちは。
それでもイルカを幸せにしてやれる能力が自分にないことを、俺は一生悔やむだろう。
気持ち悪いことを言うようだが、容姿を紅と交換できたらどんなにいいか、なんて思う。
そうすればイルカの望むことをしてやれる。
イルカの父親的存在になりたいなんて俺の願いは、イルカを幸せにできるならどうでもよかった。
今の自分がイルカに与えられるのは家族としてのぬくもりぐらいだったから、それならそれを全力で与えようと思った。
 
 
イルカの前では何度も紅のことを忘れた。
忘れて、でも思い出して、我に返る。
いつからか紅が俺の精神安定剤みたいなものになっていた。暴走制御装置か?
あいつのことは愛しているのにそんなことを思う。
俺は最低の男だ。
 
 
でもなあ、イルカ。
 
お前は俺が幸せにしてやる。
だから俺のことを好きになれ。
泣きそうなお前を見て、思わず言ってしまいそうになった。
紅のことも、イルカのためにそうしない方がいいということも忘れて、激情に駆られるまま全てを話してしまいたかった。
そうできたらどんなに幸せか、どんなに不幸せか――なんて、そのときは考えもしないんだ。
 
 
俺は最低だ。なあ、イルカ。
 
 
 
 
 
 
ここのアスマさんはカカイラーの敵です。
イルカはガキじゃないと言いながらも過保護なアスマさん。
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